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自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで

国立西洋美術館は1年半の休館を経て、今年4月にリニューアルオープンしたということだ。そして、今月4日から始まったこの展覧会がリニューアルオープン記念の企画展らしい。
コロナ禍に突入した2020年は一度も展覧会に行くことはなかったので、自分にとっては今回がコロナ禍になって初めてとなる国立西洋美術館訪問ということになるのか…。
ついこの間も、改装していたようなイメージがあったんだけれど、あれは常設展の展示スペースのみの改装だったのかな?

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コロナ禍になってからの美術館・博物館というのは、予約制がデフォルトになってしまったが、リニューアルした国立西洋美術館でもご多分に漏れず、そのシステムが導入されている。

コロナ前までは、自分にとって美術館や博物館を訪れることはちょっとした時間の余裕ができた時にするものだった。
展示作品数や混雑具合にもよるが、30分から1時間程度で一通りの展示作品を見ることができ、しかも、時間に余裕があるからゆっくり鑑賞しようとか、次のスケジュールまでの余裕がそんなにないから、特にじっくり見たい作品以外はパッと見で終わらせようとか自分のペースで見ることができるからだ。

でも、予約制だとそうは行かないんだよね。入場開始時間が決められてしまっているので、結局、映画や舞台、コンサートを見るのと同じになってしまっている。
当日券が発売されることも多いが、人気のある展覧会だと、今すぐの時間帯の枠が空いていることは滅多にない。

“1時間くらいヒマな時間ができた。今は上野にいる。じゃ、美術館にでも行くか!”ということができなくなってしまったんだよね…。

また、予約制を導入したことにより、音声ガイドを担当している俳優や声優などのファンなど美術鑑賞ではなく芸能イベントに行く感覚で展覧会に行く人たちによって、あっという間に予約枠が埋まるようになってしまった。
その結果、来場者のマナーが非常に悪化しているし、鑑賞ルールも変えられてしまっているフシがある。
本来なら来場者の好きな順番で鑑賞していいはずなのに、コンサートの入場待機列とか物販のように、列に並んで見なくてはいけないというルールを押し付けてくるような態度の者もいるしね。

そして、美術館・博物館側もそうした音声ガイド目当ての非美術ファンで稼ぐという方向にシフトしてしまっているので、マナー違反やルールの勝手な変更も黙認している傾向がある。

というか、指定枠を守らずに遅れてやって来る奴らが多いせいで、本来の入場時間になっても入れないことがあるのはおかしいだろ!

それから、美術館・博物館に行くのって非常にコストパフォーマンスが悪いんだよね。

コロナ前から入場料は高騰傾向にあるが、それには、複数の要因があると思う。

非美術ファン向けの客寄せパンダとして音声ガイドに起用した俳優や声優などに支払うギャラ。

海外の物価や人件費が日本より高いため、海外から作品を取り寄せる際にかかる費用が上昇。

こうした分を上乗せしているから、入場料は上がっているのだろう。

さらに、ここ最近では、コロナ、燃料高、原料高、ウクライナ情勢、インフレ、円安などといった様々な事案の影響も受けている。

だから、展覧会の入場料の高騰は避けられないのだとは思う。

でも、正直なところ、展覧会を見るのって、コスパが悪すぎるよね。

本展覧会は一般の入場料金が2000円だ。映画館の当日の一般料金で主流派となっている1900円よりも高い。
映画は平均すれば上映時間は2時間程度だが、展覧会なんて、場合によっては、30〜40分で見終わってしまうことが多い。それで、入場料は映画より高いんだからね…。
入場料の高いコンサートや舞台だって、内容にもよるけれど2時間以上は上演されるのが一般的だしね…。

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そんなコスパの悪さを忘れさせてくれる数少ない日本の美術館と言っていいのが、国立西洋美術館だと思う。それは常設展を常に開催しているからだ。常設展を含めれば、館内の滞在時間は短めの映画を見たくらいにはなるからね。しかも、常設展の中でミニ特集展もやっているしね。

個人的には、常設展を恒久開催できない美術館は美術館と名乗る資格はないと思っている。その基準で言えば、日本の美術館のほとんどが単なる展示ホール、イベントスペースなんだけれどね。だから、国立西洋美術館は日本では数少ない本物の美術館と呼んでいいと思う。

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今回の「自然と人のダイアローグ」展はリニューアル記念の展覧会ということもあり、クロード・モネ作品など本来なら常設展で展示されてもおかしくない作品を企画展示として別料金で展示しているので、若干、モヤっとしたものは感じるものの、展示作品自体には何の文句もないので、久しぶりに満足のできる展覧会に足を運べたと思った。
とはいえ、美術館・博物館業界全体が“非オタ”から金を巻き上げる戦略に移行していることもあって、来場者のマナーには若干、不満を持ったりもしたが…。

それにしても、モネ作品って、ずっと眺めていてもあきないんだよね…。特に心身が疲れている時には効くね!

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