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一(ひとつ)に曰(い)はく、和(やわらぐ)を以て貴(たふとし)しとし、忤(さか)ふること無きを宗(むね)とせよ。人皆党(たむら)有り、また達(さと)る者少なし。是(ここ)を以て、或いは君父(きみかぞ)に順(したが)はず、乍(また)隣里(さととなり)に違(たが)ふ。然(しか)れども、上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論(あげつら)ふに諧(かな)ふときは、事理(こと)自(おの)づからに通(かよ)ふ。何事(なにごと)か成らざらむ。
九(ここのつ)に曰(い)はく、信(まこと)は是義(ことわり)の本(もと)なり。事毎(ことごと)に信(まこと)あれ。其れ善悪成敗(よさあしさなりならぬこと)は、要(かなら)ず信(まこと)にあり。群臣(まえつきみたち)共に信(まこと)あらば、何事(なにごと)か成らざらん。群臣(まえつきみ)信(まこと)なくば、万(よろず)の事(わざ)悉(ことごとく)に敗れむ。
十三(とをあまりみつ)に曰(い)はく、諸(もろもろ)の官(つかさ)に任(よさ)せる者(ひと)は、同じく職掌(つかさこと)を知れ。或いは病(やまひ)し、或いは使(つかひ)として、事を闕(おこた)ること有り。然れども、知ることを得る日には、和(あまなふ)こと曾(むかし)より職(し)れる如くにせよ。其れ与(あづか)り聞かずといふを以て、公(おほやけ)の務(まつりごと)をな防げそ。
本来はヤマトことばむずかしい漢文訓読調ではなかったのが意外でした。 もちろん、 資料によって漢文的に書き下した物もあります。 漢文の特徴漢文というものは、 中国語でも、話し言葉とは違い、簡潔にかつ美しくまとめられています。 ただし、 完結すぎるがあまり日本語に普通に訳した時に伝わりにくい箇所が多いです。 『日本書紀』はめちゃくちゃヤマトことばでした。 訳出は文章の全体を読むべし和を以て貴しとなす。