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ビールは畑からできている



タップルームと醸造設備の移転を無事に済ませて、絶賛プレオープン中の高尾ビールです。
いまはビールの仕込みをハイペースで行いながら、タップルームの営業を週6日で行っています。

まだ振り返られるほどの余裕もうまれていないのですが、今日はいま一度、原材料へのリスペクトを。ビール原料と生産者の方への想いを書いておきたくなりました。

都心から高尾に越してビールづくりを始めて、原料の生産者、農家の方との関わりがどんどん増えてきた今です。

ビールの主原料であるホップ、大麦、小麦、酵母、乳酸菌の生産者がいます。
副原料である梨、みかん、パッションフルーツ、ブルーベリー、桃、ぶどう、やまぶどうなどたくさんのフルーツやハーブなどの農作物を育てる方々がいます。

毎年の収穫や世話を通じて、一緒に体を動かすことで少しずつ関係を築いてきました。

ビールは畑からできている。ということを目の当たりにしてから、地場産原材料の使用比率を上げたり、フルーツは輸入物のピューレでなく、地場産のリアルフルーツを加工してビールを仕込むようにしました。(とても贅沢なことです!)

植物ですから、年によって品質のムラがあったり、収穫量の表裏があったりと、均一な品質や収量を期待することをやめました。一生懸命に育てていることは知ってるから、その年のベストなビールに加工することが我々の役目だと思って謙虚に丁寧に仕込みます。


以前アメリカオレゴン州ベンドにある大好きなブルワリーAle Apothecaryを訪れた時のことです。室内の壁に、畑で撮られたであろう人物の全身ポートレートが額装して飾ってありました。
聞くと皆は原料の生産者で、カメラマンが撮影して大きく引き伸ばして飾っているそう。生産者をリスペクトしているから、つくり手の顔を見えるようにしているとのことです。


KO52 ブルワリーのオープンに伴って、加工をお客さんと一緒にしたり、生産者のお話を伺ったりする機会を増やそうと思っています。
生産者の方との関係性をより強固にしていく。という方針を掲げます。

〜〜

そのような思いの中で、とても献身的で愛にあふれた梨農家の野崎弥生さんとの別れは我々に大きな悲しみをもたらしました。

梨を使ったビールは毎年梨の風味を出すことに苦心し、昨年ようやくゴーゼというスタイルに光明を見いだすことができました。
昨年末に彼女から最後に分けていただいたミカンは、6ヶ月以上のケグコンディションを経てタップルームで樽生の提供が始まりました。ボトルは最後の仕上げ中で、じきにリリースになります。

できることなら梨のゴーゼを作り続けさせてください。万年園の梨が大好きです。
トレイルランナーであり母であった、nashi lab.の野崎さんのご冥福をお祈りいたします。

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