アルタ前_2

二十歳になった時、10代が終わってしまったことを
まるでこの世の終わりのように、絶望的に捉えていた。
僕とKは、大学からほど近いコンビニで温かい缶コーヒーを買い、
Kの車で二十歳を迎えた心境を語りあっていた。

酒やタバコは誰に咎められる訳でもなく享受できること。
同時に、もう言い訳が効かないこと。
学生とはいえ大人なんだと否応なしに突き付けられている感覚。

ただ、おそらくこのどうしようもない、くだらない性分は
自分たちが30になったとしても、多分、きっと同じなんだろうということがうっすらと分かってしまっていることが、妙に面白かった。

何故だろう。確かに僕らは良い関係を築いていたはずだった。
決して周囲に打ち明けることのできないような、
繊細で危うい秘め事を、初めて告げた相手でもあったはずだった。

僕とKとの間柄は
大学を卒業して間もなく、あっけなくもぷっつり切れてしまったのだった。

とはいえ、Kと過ごしたのは大学時代のほんの1年足らずだった。
卒業して以来、既に5年以上が経過しており、僕にとってもKにとっても、
遥か彼方の記憶として、少しばかりの引っかかりをもって蓄積されたものに過ぎなくなってしまった。

”小学校を卒業して中学に入ると、お互い廊下ですれ違うときに挨拶をするだけの関係に。よくあることだ”
昔みた映画のラストシーン。

それはあくまで自然なこととして受け止めるべきだったのかもしれない。

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