アルタ前_4
「おう」
どのタイミングで僕に気づいたのか。
僕が近寄るとKの方から声をかけてきた。
僕が何か言おうとするよりも前に、
Kは僕をそれ以上見ることもなく、歌舞伎町方面に歩き始めた。
・・・
(そういう話をしているんじゃないんだ)
ひとしきりKが話し終えて、僕が何かを言った後だった。
恐らく的を射ていなかったのだろう。よそよそしさに満ちた他人を振る舞うかのように、Kは僕に対してこれ以上無いほどの冷たい視線を浴びせた。
僕も無性に腹が立った。何が気に食わないんだ。
それ以上会話を交わすことなく、僕らは居酒屋を出たのだった。
・・・
あのときと同じだ。馬鹿にされているような、僕とKとの間を隔てる何かが露わになるようで、それが僕を苛立たせた。
お前は僕をどこへ連れていくのだ。
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