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映画のこと

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2020年5月の記事一覧

生涯ベスト級の映画『サラの鍵』を、コロナ禍で観て思ったこと

喜怒哀楽のうちの、どの感情にいるのか自分でも分からないうちに涙が止まらなくなるラスト・シーンが忘れられなくて10年ぶりに見直してみたのだが、もう中盤以降はずっと泣きっぱなしだった。劇場で観たとき、しばらく立ち上がれなくなった衝撃もそのまま。今もまだずっと余韻が続いている。 日本では2011年に公開されたフランス映画『サラの鍵』。確か当時は新宿武蔵野館で観たのかな。そんなに大きな規模ではなかったし、ほとんど話題にはならなかったのだけど、観た人の間ではかなり評価が高かったと思う

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映画『バック・ビート』で知るビートルズ前夜。写真家アストリッド・キルヒャーを偲んで

写真家のアストリッド・キルヒャーが、5月12日に亡くなった。 ザ・ビートルズに対して並々ならぬ思いを抱いている人で、アストリッドの名前を知らない人はおそらくいないだろう。ビートルズがデビュー前、ドイツはハンブルグでドサ回りのような過酷なツアーを行なっていた頃、バンドにとって最初の公式カメラマンとして数多くの有名なショットを撮影していたのが、他ならぬ彼女だからだ。 当時リーゼントに革ジャンというファッションでロックンロールを奏でていたビートルズに、マッシュルーム・カットと襟

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『タリーと私の秘密の時間』が教えてくれる、「信頼」と「関心」の大切さ

ルーファス・ウェインライトの「Supermayer Lost in Tiergarten」に乗せて、授乳、オムツ替え、夜泣き、寝かしつけ……の無限ループを観せるシーンはそこらのホラーよりもゾッとした。徐々に短くしていくカットの連続によって、シャーリーズ・セロン演じるマーロの精神状態がどんどん追い込まれていく様子を見事に描いている。 『JUNO/ジュノ』で、我らがエレン・ペイジを世に送り出したジェイソン・ライトマンが、『ヤング≒アダルト』以来再びシャーリーズ・セロンとタッグを

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『WAVES/ウェイブス』の公開が決まらないので『イット・カムズ・アット・ナイト』を観ました。

レディオヘッドやフランク・オーシャン、テーム・インパラなどの楽曲をふんだんに使用し「プレイリスト・ムーヴィー」などと称され話題になっていた映画『WAVES/ウェイブス』。本来は4月に公開予定だったのですが、コロナ騒動で延期に。実は監督のトレイ・エドワード・シュルツにもSkypeでのオンライン取材を行なっているのですが、それもまだ掲載日未定の状態という。う〜ん、もどかしい……。

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