官能を忘れたイチジク。

【東京藝術大学 卒業・修了作品展2019】
佐藤浩一さん（先端芸術表現）の作品
「Mutant Variations」から映像作品の「Breeding Institution」
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第12回「 shiseido art egg」で拝見した作品。
佐藤さんのテキストによる説明だと
「単為結果のイチジク（受粉を必要としない品種）への人工授粉の映像と、
受粉に伴う電位変動を可聴化した音響など」となっている。
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イチジクは生殖や性にまつわるシンボルだという。
ところが、私たちが知っているイチジクは品種改良されていて
成熟のための受粉を必要としないらしい。
つまり人間の欲望のために、
生殖機能を取り除かれてしまった生殖のシンボルなのだ。
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資生堂ギャラリーでは残念ながら感じられなかった香りが
卒展の会場では甘く匂っていた。
それは艷やかで怪しく鼻孔に忍び込んでくる。
が、その誘惑に負けてしまったとしても、そこには官能などないのだ。
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