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新曲「青い鳥飛んだ」

2023.12.1.
久しぶりの書き下ろし曲「青い鳥飛んだ」、bandcampからリリース。
(左下の「▶」から再生)

青い鳥飛んだ
作詞・作曲:高野寛

青い鳥飛んだ どこへ行った?
「火星の果てまで」と 誰か言ってた
青い鳥飛んだ どこに消えた?
X 印が 跡に残った

心ないやりとり 続いてる
罪のない人を 打ちのめす
多愛ない日々の 呟きは
どれだけ探しても もうなかった

青い鳥燃えた 何度も何度も
焚きつけたのは 乾いた言葉
青い鳥愛した 彼はもういない
「諸行無常 (All things must pass)」と 誰か歌ってた

信じられない 出来事が
洪水のように 溢れ出す
本当も嘘も まざりあい
偶像 (idol) の光も 見えなくなった 
 
青い鳥飛んだ どこに行った?
「火星の果てまで」と 誰か言ってた
青い鳥愛した 彼はもういない
♡マークは まだここにある

*Dedicated to Yukihiro Takahashi and Twitter.



2023年明けから、来年予定しているデビュー35周年に向けてアルバムの構想を練り始めた。bandcampで発表してきたエレクトロの曲をまとめてアルバムにするアイデアがまっさきに浮かんだが、ずっと最後のピースが欠けている気がしていた。

そして冬〜春、高橋幸宏さんと坂本龍一さんの訃報が続いた。坂本さんの「芸術は永く、人生は短し」という言葉通り、今も作品や映像を通してエネルギーを感じることはできるけれど、それ故、まだ不在が信じられないような、非現実的な喪失感がある。


7/23、突然ツイッターが「X」になった。こんな投稿をした。

夏以降、コロナ禍の分も取り戻そうとする勢いで人々は動き始めた。ライブイベントのオファーが急に増えて、なかなか曲を作る暇もなかった。

11月、やっとまとまった時間が取れるようになって、「青い鳥飛んだ」を曲に仕上げることにした。来年のアルバムに収録するイメージで、全部打ち込みで録音した。歌詞がリアルな憂いに満ちているので、サウンドは思い切りポップに振った。

だいぶ前からツイッターは言葉の戦場と化し、いたるところで火の手が上がっていた。ボヤ程度のものも含めれば、随分と知り合いも巻き込まれてしまっている。火種の真偽・事の是非はそれぞれ様々だが、真相を調べようとしても、膨大な情報は虚実入り混じっていて、部外者には全容はわからないことが多い。そして、あんなに大騒ぎだったニュースも、次々起こる出来事に上書きされて、3ヶ月も経てばほとんど忘れ去られてしまう。

そこに(火星に移住しようと本気で企てている)イーロン・マスクが、ツイッターの砂漠化に決定打を加えた。可愛らしい青い鳥のアイコンはモノクロの「X」に差し替えられ、収益化の弊害で、バズだけを目的にした投稿が激増したのは御存知の通り。

加えて、AIの進化も急速に進んだ。下の動画を予備知識無しで観た人はあっさりと「アインシュタインは日本語が達者だった」と信じてしまうだろう。動画をAIに投げるだけで、こんな錬金術がものの数分で完了してしまうらしい。最近では、驚くような映像や画像をネットで見かけると、まず疑ってかかる癖がついてしまった。


ちなみに、今回の「青い鳥」のアートワークもAIに描かせたもの。
昨年11月に同じくAIイラストに加筆して作った「Fake Fur Animal」のそれ↓と比べると(僕自身がプロンプトの書き方にこなれてきたのもあるが)、この1年間のAIの目覚ましい進化が見て取れる。




2020年のコロナ禍にスタートしたbandcampからの未発表音源リリースは、もう足掛け3年になる。ライブ音源や過去の未発表曲に加え、時折書き下ろしの新曲もリリースしてきた。ほとんどがコロナの活動制限の下で書かれた曲で、そのことを色濃く反映している曲が多い(ステイホーム中につくった「STAY, STAY, STAY」など)。


毎月第一金曜に続けてきたbandcampからの定期的なリリースは、多分今回で一段落になる。「青い鳥飛んだ」を書いて、僕はコロナ禍にやっとピリオドを打つことができた。

今まで応援してくれた皆さんには本当に感謝しています。
これからも、時々はbandcampで発表していくつもりです。


この「サポート」は、いわゆる「投げ銭」です。 高野寛のnoteや音楽を気に入ってくれた方、よろしければ。 沢山のサポート、いつもありがとうございます。