見出し画像

ブタのぶーちゃん

昔、ペットショップで働いていた時に、店長がある動物を仕入れてきました。

それがミニブタでした。
普段、犬猫から小動物、鳥、魚、爬虫類を扱っているのに、なぜ突然ミニブタ!と驚きました。
それもミニブタという大きさではなく、すでにブタの大きさでした。ミニブタは育て方によってはブタの、それ以上の大きさにもなります。

店長が世話をすると言うので「それなら、まぁいいか」と思っていましたが、突然私がブタの世話をする事になってしまったのです。

なぜかと言うとそのブタは店長を見ると目が♡になり、大興奮してしまうのです。もみあげのしっかりした、濃ゆい顔の店長が気に入ったのか、店長が餌をあげようとすると突進して「ぶひー!!」と大声で叫び、暴れてしまい餌をあげる事も出来なかったのです。

私が餌をあげると大人しくモグモグ食べてくれます。ブタはけっこう私に懐いて「ぶーちゃん!(勝手に名前をつけました)」と呼ぶと嬉しそうに尻尾を振って、喜んで近寄ってくるし、なかなか可愛いブタでした。

しかしブタ臭が凄くて、同じホームセンターの他の店舗からクレームが来たので、ぶーちゃんが入っていたケージの上にトイレの消臭剤ラベンダーを置いていたところ、店長を見かけたぶーちゃんが大興奮してケージを揺らし、その消臭剤をひっくり返し消臭剤の液体がぶーちゃんに全てかかってしまいました。トリマーさんと私で何度も拭いたのですが、しばらくぶーちゃんはラベンダー臭いブタになってしまい、お客様に「なんかこのブタ不思議な匂いするね〜」と言われて焦りました。

そして、ぶーちゃんは案の定なかなか売れず、ガツガツ食べるのでどんどんと大きく育っていきました。
ある日、休み明けに仕事へ行くと、ぶーちゃんがいなくなっていました。店長に聞くと、近くの牧場をやっている人がペットとして飼いたいと購入してくれたそうです。
売れずにこのまま店の看板ブタになってしまうのかと話していただけにホッとしましたが、ぶーちゃんがいなくなったお店は「ぶーぶー」という声も聞こえなくなり、とても静かになってしまい、寂しかったです。
でも店員全員で「もうブタは仕入れないでくださいね!」と店長に言いました。

ぶーちゃんはその後、とても可愛がってもらえたようで、飼い主さんがよくお店に寄ってくれて「ブタ元気だよ」と教えてくれたので安心しました。
いつかブタを飼ってみてもいいかな?と最近思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?