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中古車価格 海外輸出増で再び上昇

世の中の様々な値段がどのように決まっているのかを解き明かす、値段の方程式です。きょうのテーマは、「中古車価格 海外輸出増で再び高騰」。コロナ禍の半導体不足で新車の生産・販売が停滞したことで中古車に需要が流れました。消費者はクルマの買い替えの際、それまで乗っていた車両を下取りに出すことが多いです。つまり新車販売が減れば下取りも減るので中古車の供給が絞られます。その後、半導体不足の解消などで新車生産が回復するにつれ中古車相場も落ち着いていました。そんな中古車価格が再び上昇基調を強めています。リクルートの中古車情報サイト「カーセンサー」に掲載された中古車の平均価格は今年の5月時点で196万2000円でした。前年同月比8%高です。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

新車発売時と同じ値段の中古車も

中古車販売大手のケーユーで取材してきました。東京都町田市の本社には約1200台の中古車が展示されています。中古車で人気のトヨタ・アルファード。2022年式が600万円ほどで売られていました。1年前と比べて30万円ほど高くなっており、この型の新車発売当時の価格並みだそうです。

ケーユー本社(東京都町田市)

値上がりの背景について三村雅久取締役上席執行役員に聞きました。「新車の認証問題により生産が滞っている。そうすると新車が届かない、納車されない。下取りが入ってこないため中古車が生まれない」そうです。 認証問題以外に円安の影響も大きいといいます。1ドル110円だったのが160円になるとドルベースの価格は3分の2になります。もともと品質が高く人気だった日本の中古車の割安感が強まっています。「発生量の少ない中古車を国内、海外で取り合っている」(三村さん)

取材していて、展示場にびっしり車が並べられているのに気が付きました。じつは2024年問題の影響です。中古車を輸送する際に使う専用のトラックの運転手が不足しており、配送スケジュールに支障が出ています。販売機会を逃さないよう常に売り場に在庫を確保するため、できる限り多く仕入れてびっしり並べているそうです。

認証不正問題で新車販売に影

中古車相場に大きな影響を与える新車の生産・販売状況。大手自動車メーカーの認証不正問題によって新車生産が滞っています。今年1月から5月までの国内新車販売台数は、前年同期比13%減の約213万台。半導体不足に陥った2022年以来の低さ。

一方、日本中古車輸出業協同組合によると、1〜5月の中古車輸出台数は約65万台でした。通年として過去最高を記録した昨年の同じ時期を13%上回っています。円安を追い風に日本の中古車輸出は活発で、オークションでも輸出向けに国内向けが競り負けるケースが見られます。

今年5月までの輸出先をみると1位がUAE(アラブ首長国連邦)、2位がロシアです。去年は1位がロシアでした。地域別でみるとアジアやアフリカへの輸出が多い。特にアフリカは自動車市場の大半を中古車が占める「中古車王国」で、耐久性の高い日本車は人気が高いです。
ここできょうの方程式です。

中古車の価格上昇=新車販売の停滞+円安で海外輸出増

中古車取引では大手のビッグモーターを巡って保険金の不正請求や販売・買い取り時の顧客とのトラブルが発覚し、消費者に中古車に対する不安感が広がりました。業界も信頼回復のため修理作業などの透明性を確保する策を講じています。中古車情報サイト「グーネット」は3月から車両の故障の有無を確認できるサービスを始めている。中古車販売店が専用の読み取り装置を使い、車載式の故障診断装置に記録された車両の故障コードを読み取る。不具合がないことを確かめた上で、ウェブサイトに掲載し、もしも故障があった場合には販売店が修理してから販売するようにしています。


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