紙市場の構造変化をまとめた記事です。

デジタル化の進展で 印刷・情報用紙の需要減が続いています。日本製紙連合会によると2017年の印刷・情報用紙の需要は前の年に比べ2%減。一方、ティッシュペーパーやトイレットペーパーといった家庭紙は10年連続で増えています。訪日外国人の増加などでホテルやレストランの使用量が増えています。段ボールはネット通販の拡大を背景に消費量が増えています。

こうした紙市場の構造変化に王子ホールディングスと日本製紙がどう対応してきたか。記事では過去を振り返り、3つの分岐点を検証しています。

私は先週のBSテレビ東京「日経モーニングプラス」で「ティッシュの値段」について解説しました。

原料が上がってもティッシュの販売価格はなかなか引き上げられません。原料パルプの価格は中国の需要増で昨年1年間で4割上昇。物流費も高騰を続けています。ようやく、この9月に流通価格は数%上昇しましたが、なんと5年ぶり。店頭で極端な安売りが減っている程度で、「ティッシュの値段が上がっている」という実感は少ないでしょう。

そこで各社が取り組んでいるのが高価格帯のティッシュです。

・鼻セレブ(高級保湿ティッシュの先駆け、1箱200円前後)

・エリエール 贅沢保湿(美容液で有名なヒアルロン酸が配合されている、1箱200円前後)

・クリネックス 至高・羽衣(1箱1000円!!)

さらに1箱1万円という、おそらく世界一高いティッシュもあります。通常の商品は5箱パックで300円前後で販売されていますから、いかに高い商品なのかがわかるでしょう。売れ行きも好調で「クリネックス 至高・羽衣」は店頭で品薄といいます。

メーカーにとって大きなメリットがあります。

①付加価値が高く、競合も少ないため小売店であまり値下げされない。

②ティッシュは安いのにかさばりますから、経費に占める物流費が割高になります。高価格帯の製品なら割高感が薄まります。

ーーといったことをお話しました。


「紙でも稼げる分野は確実にある」。王子幹部は力を込める。紙の役割は(1)印刷用紙など情報を「伝える」(2)ティッシュなどの「拭く」(3)段ボールなど「包む」――の3つ。「伝える機能はデジタル化で確実に需要が減るが、拭く・包む機能は代替できる素材がない」(王子幹部)。パルプの需要も増えるとみる。

この記事を読んで紙産業は成長のチャンスを数多く秘めている気がしました。段ボールは包装用だけでなく、強度や防水性を高め災害用品にも利用が広がっています。外食産業でプラスチック製ストローを廃止し、紙製に切り替える動きが出ているのも追い風になりそうです。

日本のティッシュは質が高いだけでなく、広告媒体として街中で無料で配られることもあり、外国人に驚かれます。折り紙文化を代表する「折り鶴」に感動する外国人も多いでしょう。

2020年に東京五輪・パラリンピックもあり、世界中に伝えるチャンス。紙で世界を驚かせることもできるのではないでしょうか。


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