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中古スマホの市場拡大 SIMロック解除義務化が後押し

BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」。本日朝の「値段の方程式」のコーナーで取り上げたのは「中古スマートフォン」です。
皆さんは中古スマホを購入したことがありますか?じつは最近、中古スマホの取引量が急激に増えています。携帯端末事業者で作るリユース・モバイル・ジャパンがまとめた2018年度の四半期ごとの中古売上高はこのように増えています。

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スマホが普及するにつれ、家族で何台も持つ家庭も珍しくありません。端末代と通信費がバカになりませんから、少しでも費用を安く抑えたい利用者に中古スマホが注目されています。

SIMロック解除が後押し

さらに総務省が通信業界の競争を促進し料金引き下げにつなげようと動いています。2015年5月に「SIMロック解除に関するガイドライン」を改正し、大手キャリアに対して、ユーザーの希望に応じたSIMロックを解除すればの解除が義務づけました。
SIMロックを解除すれば、利用者は端末を変えることなく、SIMカードを差し替えるだけで、他業者の通信サービスが利用できるようになりました。LINEモバイルや楽天モバイルなど格安SIMを提供している事業者(MVNO)のサービスに乗り換えることができます。端末を選ぶ自由度も飛躍的に高まりました。

「ゼロ円端末」が消えたわけ


キャスターの八木ひとみさんから「そういえば最近、スマホの販売で『端末ゼロ円』って見かけませんね」と質問がありました。
総務省は携帯電話端末の値引きについて 「2年をメドに事実上根絶」することを目指し、厳しい規制を適用する方針を示しています。「2年契約を結んだ場合だけ端末を値引きする」」といった通信契約継続を条件とする割引については禁止しました。電気通信事業法の改正で通信費と端末代金の分離、いわゆる「分離プラン」への移行を進めています。
これまでは長く契約してもらい一定期間払ってもらう通信料を原資に、端末の値引きに充てていました。ところが、その原資がなくなり、キャリアが端末価格を下げる余地が減りました。 「端末ゼロ円」「ゼロ円スマホ」がなくなったのがそのあらわれです。
端末価格が下げられない携帯電話会社(キャリア)は使用済みの古い機種の下取り価格を 引き上げることで、実質の支払額を押さえようとしています。その結果、キャリアに下取りに出している人は増えています。

企業から持ち込みも

中古品はゲオやソフマップとした大手のリユースショップや、中古スマホの販売事業者が営業している店舗などで購入可能です。 東京・上野にある 中古スマホ販売店、アメモバを取材してきました。
店内にディスプレイされているのは、やはりほとんどがiPhoneでした。社長の陳波さんは「個人だけでななく、企業からの中古スマホの持ち込みが多い」と話します。「最近の例でいいますとiphone6Sプラスです。会社の端末をiphone7に切り替えた時に古い端末をどう処分しようかという話になったときに、弊社に買取して下さいという話が来ました」(陳さん)

取材したアメモバは店舗販売以外に中古スマホ専門の販売サイトに出品しています。
中古スマホ・中古携帯を専門に扱うフリマサイトの「ムスビ―」です。ウェイブダッシュという企業が運営しています。「ムスビ―」は2007年から運営されている、国内初の中古スマホ・携帯・タブレット専門のフリーマーケットサイト。スマホの仲介サービスとしては国内最大級です。

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売り上げランキングの上位10種はこちらです。

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中古で圧倒的人気のiPhone

アンドロイドの端末も含めたランキングですが、上位をiPhoneが独占しています。iPhoneは結構前の世代でも最新のアプリが使える点が評価され、人気が高いようです。現時点で最新のOSはiOS13です。iPhone6sまで対応しています。2015年に発売されたモデルなので、4、5年は使えることになります。一方、アンドロイドスマホが最新のOSで使用できるのは2年程度と短い。OSが古くなると使えなくなるアプリも出てきます。

同じiPhone7でも価格に違いがあります。SIMフリーの人気が高いのは買ってそのまま好きなSIMを利用できるためです。キャリアのロックがかかっている場合は一部を除き解除に手数料がかかります。

thumbnail_HD_iPhone7 値段の比較 (2)

今年9月に中古スマホの業界でちょっとしたニュースがありました。8月の平均単価と10月の平均単価で比べると、iPhone8、X(テン)も10%前後、値段が急落しています。いずれも人気機種なのにどうしてでしょう。
急落の理由はアップルの価格戦略があります。アップルは今年9月、最新の11を699ドルで発売すると発表しました。日本円で7万4800円です。1年前の同時期に発売されたXと比べて、1万円ほど安い価格設定にしました。合わせて、X全機種の価格を2万円以上値下げしました。
Xについては中古品が取引されていた値段よりも、アップルが公式で定めている新品の値段のほうが低くなったため、アップルの公式の販売価格よりも中古品価格を下げざるを得なくなったというわけです。

ということで、今回の値段の方程式はこうなります。

中古スマホの値段はiPhoneの公式販売価格に左右される。

番組の最後にキャスターの豊嶋広さんから「米国ではベライゾンなど携帯電話会社が中古端末の売買も扱っている。日本ではこうした動きは出てきませんかね」と質問がありました。今のところ、ドコモやAUなど大手キャリアに中古品取り扱いの動きはありません。ただ、総務省が携帯料金の下げに力を入れており、大手キャリアで取り扱いが始まってもおかしくありません。そうなると一気に中古品市場が拡大する可能性はあります。

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