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家庭教師時給1万円超も マッチングの効果とは

BSテレ東の朝の情報番組、日経モーニングプラスのコーナー「値段の方程式」。先週金曜4月5日のテーマは「家庭教師の時給」でした。キャスターの天明麻衣子さんは東京大学ご卒業。ご自身も家庭教師のアルバイト経験があり、「時給は3時間で1万円ほど」だったといいます。一般的な家庭教師派遣会社の募集時給は1500~2000円が相場なのでやや高めですね。
最近は時給1万円を超える高時給の家庭教師アルバイトもあります。オンラインで先生と生徒をマッチングするサービスの増加が背景にあります。マッチングサービス「スマートレーダー」を運営するprd(東京・品川)を取材してきました。この会社のサイトには時給5000円や8000円、高い人だと1万円を超える人もいます。

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時給が高い理由はこのサービスでは先生として登録する条件が限られているからです。関東で東京大学、東京工業大学、一橋大学の現役学生のみ。
先生の細かいアピールポイントも見えるようになっています。たとえば、東京大学の中でも成績トップクラスとか、高校時代に模試で全国1位だったとか、短い期間で成績を上げた経験があるとかなどなど。細かく調べたうえで、AIを使って適正時給を個別にはじき出しています。優秀な人は、それだけ時給が上がるということなんですね。

また、もう一つ大きいのがサービス会社がとる中間マージンが少ないことです。家庭教師を派遣するサービスだと通常50~60%のマージンを取るといいます。学生の募集、先生のスケジュール管理、授業の感想の聞き取りなど人手が必要でコストがかかるためです。
一方、マッチングサービスの場合は25%。中間マージンを半分以下に抑えることで、教師に支払う金額を増やしています。先生の募集は口コミ、依頼者はネットで条件を検索し先生を選びます。なるべく省力化することでマージンを減らしています。現在は登録完了している数が600人。申請途中の人数を合わせると1200人ほど集まっているそうです。prdは4月1日からは関西で京都大学、大阪大学の学生を対象にしたサービスも始めました。

このサービスを立ち上げたのが東京工業大学出身の市川靖裕さんと金子貴載さんの2人。学生時代に家庭教師をやっていて感じた課題を活かす形で起業しました。「周りの人と時給が同じ、画一的なのはちょっとおかしい、その人それぞれに見合った金額でもいいと思った。その人の能力を測れるデータをもらってオープンなプラットフォームを作れば適正な価格形成ができると思った」(金子さん)。
一人一人に見合った時給をつけられることで、優秀な人材の獲得にもつながっているそうです。「大学の首席の人が登録してくれた。東大の数学の試験、満点を取った人。6問全問正解『6冠』です。すごい偉業、びっくりした。」と市川さんが興奮気味に話します。東大試験で数学の満点がどれくらいすごいのか。レベルが違いすぎて私にはピンとこなかったのですが、天明さんが「基本的に7割取れればO.K.といわれる。満点は相当すごい」と解説してくれました。なるほど。

キャスターの八木ひとみさんが「時給1万円払って、家庭教師をしてもらおうという親もすごい」と話しました。実際に依頼した人は1時間だけ来てもらい、勉強を見てもらうんじゃなくてどんな教材を使っていたのかとか、勉強法を聞くという使い方をしていたそうです。

「家庭教師って1カ月単位とかでやることが多いから、合わない先生だったりしたら無駄が多い。1時間だけで必要なことだけ聞いて終了できるなら良いのかも」(天明さん)。

家庭教師の時給を決めるポイントはこのようになりました。

家庭教師はマッチングサービスで高額時給(1万円以上)が増える

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番組終了の際、コメンテーターの豊嶋広さんから「新学期になって家庭教師のテレビCMを頻繁にみる。季節的なものですか」と質問を受けました。おっしゃる通り、4月は来年の受験をにらんで勉強に本腰を入れる時期。家庭教師業界の書き入れ時です。でも、もう一つのピークがあります。取材したprdによると5月下旬、ちょうど中間テストが終わるころにヤマがあるそうです。レベルの高い中学や高校に進学したが、なかなか授業についていけない。こういった人たちが家庭教師に頼るそうです。

マッチングサービスは無駄を省きますから価格は下げ方向に動きやすいかと思いきや、そうではなさそうです。モノと異なり、家庭教師は個人のレベルにばらつきがあるからでしょう。データを可視化することで価格に敏感に反映させる。以前、番組で取り上げたチケット価格ともつながる話かもしれません。

マッチングサービスの広がりがモノやサービスの価格に与える影響については今後も探っていきたいと思います。


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