金とプラチナの価格差が1トロイオンスあたり400ドルと過去最大の水準に開いています。

ざっくりいうと金がじりじり上がり、プラチナが下げという値動きで両者の価格差が開いています。

金は宝飾品に使われます。インフレ対策やリスクを分散できる「資産」としての側面もあり、リスクに備える資産の逃避先として買われる傾向があります。今、金が買われているリスクの中身とはなんでしょう。

米国のトランプ政権が保護主義的な動きを強めているのが背景です。米国が輸入する鉄鋼やアルミに高い関税を導入し、中国が対抗措置として米国産の豚肉やワインに関税を課すことを決めました。「貿易戦争」が世界的に拡大しそうな雰囲気で、不安心理の高まりから金が買われています。買われているといっても金の上昇ピッチは緩やかで、いきなり有事を想定させるほどの緊迫感は感じられません。

気になるのが世界景気に反応するプラチナの値下がりです。需要の半分以上を工業用が占めるからです。

プラチナはディーゼル車の排ガス処理の触媒や電子部品に使われています。日本では宝飾品として、特に結婚指輪にプラチナが使われます。世界的には宝飾品にプラチナを使う国は少なく、価格も景気に大きく左右されます。値下がりが続いているということは世界の景気の先行きに不安が広がっている証拠でしょう。

米国の景気拡大も9年目に入り、戦後最長である1990年代の10年に迫っています。「そろそろ景気後退期に入ってもおかしくない」。投資家心理が弱気に傾きやすい状況です。米国や日本の株式相場も不安定な値動きが続いています。これに米国発の貿易戦争が追い討ちをかけるのでしょうか。

世界景気の先行きを占う指標のひとつとして金とプラチナの価格差に注目です。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28775830Q8A330C1000000/

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