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アルバイト時給上昇のワケ、学生の本音は

アルバイトの時給が上がっています。求人情報サイト「バイトル」を運営するディップによると全国の3月の平均時給は前年同月と比べ52円高い1207円。過去最高だった2021年12月に次ぐ水準です。コロナの規制緩和による経済活動の正常化に伴い、人手不足感が一段と強まりました。特にコロナ禍による休業や営業時間短縮がひとまず終わり、再び人手が必要になった飲食業界がアルバイト集めに苦戦しています。なぜでしょうか。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

人手不足感が一段と

アルバイト時給が上昇しているのは最低賃金の引き上げと人手不足が理由です。2021年度の最低賃金は全国一律28円上がり、過去最大の上げ幅となりました。
なんといっても今回の上昇は人手不足の加速による影響が大きいです。

マイナビがまとめた2021年のアルバイト全体の人手不足感は58.8%と前年比で2.5ポイント上昇しました。中でもカラオケやネットカフェなどの接客業と飲食店の上昇が目立っています。
人材業界向けサービスのフロッグが集計した求人媒体の求人広告件数のランキングでも飲食系の上げ幅が大きいです。

「安定とはほど遠い」 外食バイトに戻らぬ理由

特にコロナ禍を挟んで飲食店のアルバイトを取り巻く環境が変わっています。飲食店の求人は増えていますが、アルバイトの応募はそれほど伸びていないんです。背景にはコロナ前に飲食店でアルバイトをしていた人たちが再び戻ってこないことがあります。
今回番組ではSNSを利用し都内の大学・高校に通う学生にアンケート調査し、74人から回答を得ました。飲食店で働くことに不安を感じているか聞いたところ以下のような回答がありました。

これを見ると飲食店で働くことに不安を感じている人が多いのがわかります。コロナ禍による休業や営業時間短縮で突然、働けなくなったり収入が減ったりしたトラウマがあるようです。「営業を再開しても再び感染が拡大すれば、また働けなくなるのでは」と心配する声も。24時間働けるコンビニなど安定したアルバイトに切り替えた人や「別の業種を掛け持ちしてコロナ前のようにシフトに入れなくなった」と話す人もいました。

今日の方程式です            
アルバイト時給高騰=最低賃金の上昇+(通常営業再開による)人手不足

アルバイト時給は今後も上昇へ


コロナの影響もまだまだ懸念されていますし、時短営業などの心配がある業種では働きにくくなっているんですね。今後もアルバイト時給は上昇していくのでしょうか。最低賃金も引き続き上昇しそうです。繁華街にある飲食店では営業時間や酒類提供に制限がなくなり、お客さんが増えています。忙しくなり人手が必要になります。時給の上昇傾向は当面続くとみています。
 
今後、飲食店としては待遇改善で人手確保を進めるとともに、先行きの労働人口の減少を見据えた対応も必要になってきます。具体的にはタッチパネル端末を使った注文システムや調理・配膳ロボットの活用などで省人化の取り組みを進めていく動きが広がりそうです。人件費や食材費上昇によるコストアップ分を吸収するためにも不可欠です。




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