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単記移譲式投票というなじみのない投票方法

MathMLとはちょっと離れますが、単記移譲式投票というものに触れてみたいと思います。

この単記移譲式投票というのは、MathMLなどの仕様を決めているW3Cにおいて、技術諮問委員会(TAG)などの委員を選ぶ選挙で用いられている投票方法です。"W3C Process Document"(W3C手続き文書)の中で"Single Transferable Vote"という言葉が出てきており、その日本語訳が「単記移譲式投票」です。ただ、そもそも「単記移譲式」という言葉を見たときに意味が分かりませんでした。

そもそもどんな仕組み

詳しい内容は、単記移譲式の解説が見やすいので、そちらに譲りたいと思います。
簡潔に言うと、複数人を選出するときに、1人が候補者全員に順番を付けて投票し、多くの票を集めた候補者の余剰な票と、落選した候補者の票を、別の候補者に順々に移譲して、当選者を決める方法です。この方法は、死票が出ず、同じ政党の候補者で同士討ちとなりにくい方法なのですが、途中で票が順々に動くのでややこしいですね。

日本ではなじみがない

単記移譲式は日本ではなじみのない言葉です。私などは"W3C Process Document"を読んで初めてその言葉を知りました。
単記移譲式に対する言葉は、単記非移譲式です。この単記非移譲式は、日本の地方議会議員選挙で用いられている、複数人を選出するときに、1人が1人の候補者を選んで投票し、得票数順に当選者を決める方法です。

ヨーロッパなどでは採用されている

この単記移譲式は日本ではなじみがないのですが、ヨーロッパなどでは国会議員選挙でも用いられる仕組みで、百年以上用いられている国もあります。よって、ヨーロッパなどでは、一般的な投票方法なのかもしれません。

もっと知られたら良い

日本では選挙制度をどうするかというと、よく1票の格差がとか、選挙区の区切り方がといった議論になりやすく、投票方法をどうするのかという議論はあまりないかと思います。私自身、今まで単記移譲式という投票方法があることを思いもしませんでした。
投票方法として採用するかは別の話として、単記移譲式という投票方法もあるのだというのがもっと知られたら良い、そうすることで選択肢を増やすことができたら良いと感じました。

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