再開発ビルが区役所になったコムシティ

僕がたまたま目にした記事にこういうのがあった。

お前、本当に市役所なのか...? どう見てもイトーヨーカドーな庁舎が茨城にあった
https://j-town.net/ibaraki/column/gotochicolumn/312712.html

土浦市にある、イトーヨーカドー撤退後の再開発ビル「ウララ」に2015年に移転した土浦市役所がTwitterで話題になっていたことから書かれたコラムなんだけど、土浦市役所が移転する2年前に、僕の地元の北九州市八幡西区に似たようなのがあるよなァと思い出した。地元民ならご存じ、ウララと同じく再開発ビルとして建てられた、黒崎にあるコムシティだ。

コムシティはウララより遅れること4年後の2001年、筑豊電気鉄道黒崎駅前駅(旧西鉄北九州線黒崎駅前電停)を内包する形で複合商業施設として開業した再開発ビル。筑鉄の駅や西鉄のバスセンター(一部北九州市営バスも入る)、西鉄のホテルもあったりして西鉄のカラーを醸し出していた。僕自身も、当時テナントだったベスト電器やくまざわ書店に顔を出していたものだったし、JR黒崎駅もすぐ近くで、電車やバスの待ち時間などの暇つぶしにちょうどいいものだった。
しかし実際にはすぐ近くに井筒屋を擁するクロサキメイトがあったためかテナントがなかなか集まらず(核テナントもなかった)、その上自分の首を絞めるような運営が行われていたようで、数年で経営破綻して商業施設部分が閉鎖。以来10年近く空白となってしまう。この点はウララよりヒドイ状況だったと言える。
そして北九州市の所有となった2011年に八幡西区役所の移転が発表され、2013年5月に開庁して現在に至っている。ウララよりも先に元の商業施設が行政施設になった例であることは確かだけど、こうして書いてみるとウララとは事情が違い失敗して長期間空洞化した再開発ビルの再利用というだけに過ぎない。

こうして見ると、いくつかの再開発ビルの失敗例を持ち出すまでもなく、コムシティはやる前から失敗だったと言わざるを得ない。バブル崩壊後、黒崎も中間市にあるダイエーなどに客を吸い取られ、長崎屋が撤退するなど凋落しかけていた頃だ。ましてや、先にも触れたようにクロサキメイトという商業施設があるというのに、似たような複合商業施設を作ったところで客が集まるわけがない。もっともそのクロサキメイトも、今や井筒屋の撤退で存続が危ぶまれる事態になっているのだけどね。

蛇足だけど、僕が小学生の頃住んでいた本城西団地のすぐ近くに井筒屋が出店して1年だかで撤退したことがある。当時は寂しい思いをしたものだったけど、今振り返ってみると、「団地の中にデパートを作る」という発想自体がなにか勘違いをしているのではないかと思った。いったい井筒屋は何を考えてあそこに出店したのだろうか。一度聞いてみたい。

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