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実は「ラブ」も作っていた近江兄弟社

最近足とか手の指とか関節が痛むことが多くなったので鎮痛薬のお世話になっているのだけど、現在使っているのが「近江兄弟社メンタームQ」。サリチル酸メチルを主成分とした白い軟膏で、痛い部分にマッサージしながら(白くなくなるまでが目安)塗り込んでいくもの。ドラッグストアなどで65gのチューブタイプが500円ほどで売られているほか430gの大型サイズもあり、整骨院などで小分けにされて販売されているのを見かけた方もいるだろう。
ところで、成分や使い方を見て「メンソレータムのラブに似てないか?」と思う人もいるだろう。それもそのはず、メンタームQはメンソレータムで言えばラブに相当する製品だ。ラブはご存じロート製薬の製品で、僕自身はラブを使ったことはないものの、見比べる限りほぼそっくりさんレベルで似ている。僕もメンソレータムとメンタームの関係はネット上で調べたりして知っているのだけど、さらに調べたらメンソレータムだけではなかったことが判明した。近江兄弟社のサイトと照らし合わせながらまとめたのが次の通りである。

1920年に現在の近江兄弟社がメンソレータムを米国から輸入販売し、後にメンソレータム社からのライセンス供与を受けて自社で製造販売するようになる。1974年に一度経営破綻し、ライセンスをメンソレータム社に返上するまで作り続けられたのであるが、戦後しばらくたって姉妹品と位置づけられた消炎鎮痛剤・ラブが登場し、1956年6月に日本でもラブを発売。その後1964年にリップスティックが登場する。さらにその後メンソレータム社にメンソレータムの製造販売権を返上した際、ラブやリップスティックの製造販売権も返上したことになる。
経営再建後、メンソレータムがロート製薬のものになってしまったため新たにメンタームブランドを立ち上げて製造販売することになるが、メンタームやメンタームスティックの他にメンタームQもあったようだ。ちなみにロート製薬の公式ではラブの発売年を1976年としているが、ネット上で画像検索すれば近江兄弟社時代のラブの広告が見つかるし、現在のメンタームQが発売された1956年といえば近江兄弟社がメンソレータムを製造販売していた頃なので、実際にラブが発売されたのは1956年ということになるのは間違いないだろう。

現在メンソレータムと並んで薬屋に陳列されているメンターム。それを見て歴史的経緯を感じ取るのも一興だろう。

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