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ドクダミ

 車から降りると、駐車場の隅っこにドクダミが生えているのに気がついた。
 ハート型の葉、血管のような色の葉脈、水に濡れて光っている。
 昔は薬に使ったらしい。なんとなくわかるその匂い。裏路地の匂いはドクダミの匂い。じめっとした鼻につく匂いはなんとなく薬効がありそうだ。さくらももこさんがエッセイの中で、ドクダミは水虫に効く気がすると書いていたが私も同意する。某爽健美茶にもドクダミが入っていた。
 なんだか凄そうな効能がいっぱいありそうで、歴史的にも薬として重宝されてきたであろうこの植物は、今もひっそりと裏路地で暮らしている。褒められもせず、苦にもされず、ひっそりと光っている。レタスやらキャベツやらみたいに栽培され、虫や病気から守ってもらわなければ生きてゆかれない植物とは逞しさが違う。
 ひっそりと謙虚に、光を好まず。私はドクダミを横目に駐車場を出た。

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