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「なんで?」は、関わりたい意思表示。答えを教えるより、関わらせよう

4歳にのなると、しっかりとした認知、認識を持っています。ただし、自分の考えていること、思い、意思、欲求を正しく伝ええる語彙や、言葉の運用能力を持ちません。結果、少ない言葉でコミュニケーションをします。その一つが「なぜ?」や「なんで?」です。

これは「関わりたい」という意志の現れであって、答えが欲しいわけじゃないことの多いです。このことを知っておくだけで、子育てのアプローチが変わってきます。イライラせず、子供の好奇心を伸ばす良い機会に変えられます。

やるべきことは、シンプルです。

1. 関わりたいサインとして受け取る
2. 関わる方法を創造する
3. 探求させてあげる

このことについて説明します。

関わらせるプロセスを実行しよう

この記事のカバー画像は、4歳の娘がiPadで打ったものです。この文字が生まれるプロセスが良い例になると思うので、以下に紹介します。

・・・

僕は仕事でパソコン(MacBook Pro)をよく使います。仕事は基本的に楽しいし、楽しんでいるので、パソコンを触っているのは楽しそうに見えていると思います。

今日は、娘を実家についれていきました。娘は最初、バアバの家にあるおもちゃで遊んでいました。時々、呼ばれるので一緒に遊んでいました。しばらくすると、一人で集中して遊び出したので、僕は仕事に戻りました。

仕事をしている最中に、ひらめきがあって、集中して「キーボードを叩く」状態になりました。そんな時、娘がやってきて

「パパ、なんでやっているの?」
「なんで、それやっているの?」

と聞いてきました。ここで、ついつい

「え!?(怒り)仕事だよ(わかっているだろが・・・今忙しいだよ)」

と切り返しそうですが、これは「興味がある」を彼女なりに(4歳児)表現した結果です。答えが知りたいのではなく、「興味がある」「関心がある」「関わりたい」「触ってみたい」という意思表示です。

僕は、(触ってみたいのかなー)と思い、

僕「パチパチやってみたいの?」
娘「うん!(大声)」

ということで、「パソコンは、今はパパが使っているから、こっち(iPad)でもいい?」と尋ねてみたら、満面の笑みを浮かべていました。そこで、iPad Proにスマートキーボードをセットし、僕の横に席を用意して、座らせました。

「パパのように、並んで仕事をする」というのが、とても嬉しかったようです。江悦に入って、キーボードを叩きまくっていました。そうしたら、入力モード変換を押してしまって、混乱。

でも、失敗ではないので「絵文字モード」にしてあげ(iPadのキーボードで、地球儀マークを押すと、絵文字が入れられる状態になります)、子供が大好きな「うんち」を入れまくって上げました(カバー画像には自粛しました)。

大笑いして、喜んで他の絵文字も押します。

でも、また文字に戻りたいみたいだったので、地球儀マークのキーを押して戻しました。それを2回ほどやったのですが、さすがは好奇心の塊。説明もしてないのに、キーボードの切り替えを覚えてしまいました。

その後、絵文字のカテゴリボタンを押して、絵文字がざっと変わってしまいました。混乱しているようだったので、「間違いじゃないよ」と教えるために(言葉では分からないので)、目の前で「スワイプ」をして見せました。

そしたら、次から「スワイプ」を使って、絵文字を探すようになり、ハートマークを見つけて、入れまくるということになりました。

もしかしたら、今の楽しい気持ちを表していたのかも・・・。

もちろん、分かりませんが。

まとめ

このプロセスは、

1. なぜ?を関わりたい、好奇心のサインとして受け取る
2. 関われる方法を考える
3. 提案する(コミュニケーション)
4. 関わらせてあげる
5. 探求を手伝う(邪魔しないこと)

となります。これを僕は、「ラーニング・ファシリテーション」と呼んでいます。学習を促進するためのプロセスを作ることでもあるので、「ラーニング・デザイン」と呼んでも良いですが、即興なので「ファシリテーション」が適切な言葉と思います。

※ 子育てには、ラーニングの知識、ラーニング・ファシリテーション、ラーニング・デザインを知っていると大いに役立ちます

・・・

以下は、蛇足です。もう少し、深掘りしたい人は、どうぞ。

蛇足1. 記憶研究のパラドックス

結論を先に書くと「子供の内面で思っていること、感じていることは、正確にわからない。だから、プロセスが大事」ということです。そのことを、記憶の研究を例に説明します。

私たちの記憶力、記憶の貯蔵量を調べる方法には限界があります。基本的な方法は「これ、覚えていますか?」とテストすることしかできません。

現代の科学と技術では、脳を取り出して、解剖しても「何を記憶しているか?」を調べることができません。fMRIなどを使っても、水分子がたくさん集まっていること、そこから推測するに血液がたくさん集まっているだろう、つまりたくさんのエネルギーを使っているだろう・・・と推測することしかできません。

結果、「これ覚えていますか?」と、尋ねることしかできません。記憶量は「引き出せたもの」を測定しているわけであって、貯蔵されているものについては、わかりません。

ある人が「覚えていません」と答えたとします。ところが、数日後、もう一度尋ねると「覚えている」と答える(あるいは、テストに合格する)ことがあります。

あるいは、数年前のことを急に思い出したりします。しかも、詳細に。

このような例を挙げていくと、「人の脳は、すごい量の記憶が埋まっている。でも、自由に出し入れできるものではない。だから仮に潜在意識と呼んでみよう」となります。

しかし、潜在意識がどうなっているか?本当のところ、どれぐらい貯蔵できているのか?どのように貯蔵しているのか?が分かりません。

コンピューターシミュレーションを通じて、ネットワーク構造に記憶を多重化して記録できることはわかっています。そのような仕組みを使っているのかもしれません。あるいは、量子的な多重化をしているのかもしれません。人間の脳神経は光子を積極的に活用している可能性があります。

なんにせよ、現段階では「推測」どころか「憶測」に近いかもしれません。

私たちの身近な「記憶」ひとつ取ってみても、曖昧で、不確定で、中身が全然分かりません。

蛇足2. 子供たちの内面は、わからないという前提を持つ

上記の記憶のパラドックス(逆説:一見、身近で明らかなものと思っているが、実は違うという逆説)のように、子供たちの内面は、「幼稚」で「シンプル」なものだと勝手に仮定しています。

しかし、ベテランの保育士なら皆口を揃えていいますが、「4歳は、なんでもわかっている」と感じるぐらい、考え、感じ、行動をします。ただ、言語表現は、語彙が少なく、意志や意図や考えを伝えきれないレベルです。

このことから、子供たちは

「思った以上に、色々わかっている」
「いろんなことを感じている」
「いろんなことに関心がある」

と思うこと、そのような前提を引くことが大切です。子供の知性に対して、謙虚な態度をとると言っても良いかもしれません。

さらに付け加えれば、子供たちの成長スピードは早く、複雑で、いろんな方向に伸びていきます。極端に考えれば、昨日の子供と今日の子供で違う人間と言えるぐらい成長することもあります。

そして、その成長は「外部の刺激」によって、大きく促されます。

つまり、親との関わりによって変化します。コミュニケーションを取っている間に、子供たちの内面は、どんどん変化していきます。

このように「変化し続けていく」「動的」というイメージを持つことができれば、「さっき言ってたことと違う」について気にしなくなると思います。だって、変わるんだから・・・です。

ごちゃごちゃ書きましたが、要するに「子供たちの内面は、親は分かり切ることはない」し、「子供たちも、わからない」ということです。

やるべきことは、瞬間、瞬間に「関わり合う、ダンスを踊る」ことです。

蛇足3. プロセスとは、ラーニング

ラーニングは、ある特定のプロセスのことを指します。学研の科学と学習といえば、科学は「理科」で、学習は「漢字、国語、算数ドリル」でしたが、ここでいうラーニング=学習は、「生命の機能、生理現象」としての学習です。

ラーニングは特定のシステム(入れ子構造のフィードバック制御システム)が、動作し続けている状態に貼り付けるラベルです。この定義をしっかりとイメージし、理解できてくると、ラーニングが見えるようになります。

そして、デザインや、即興のファシリテーションが行えるようになります。

このような知識、ものの見方、捉え方、そしてスキルは、

・子育てをするパパ、ママ、ジィジ、バァバ
・学校の先生
・スポーツ指導者
・経営者(学習する組織、Teal組織を作りたいなら)
・ビジネス・コーチ(コーチングする人たち)
・発達障害へのアプローチ

に役立つと思います。

なお、ラーニングについては、様々な分野に跨って、十分な研究があります。新しく生み出す必要はなく、理論の整理整頓と、実用的な指針を作ることで十分です。

僕の仕事は、それです。

以上、蛇足でした。
もう、寝よう・・・


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