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「体罰」について自分の考え

東京オリンピックでアスリートの皆さんが奮闘する中、このような投稿をするのは少々気がひけますが、今回は「体罰」についての投稿をしたいと思う。

色々な人に読んでほしいので、今回は無料で公開させてもらいました。

なぜ今回体罰についての投稿したのかというと、先日体罰を行ったとして中学校のバレー部コーチが逮捕されたというニュースを目にしたからだ。

とても悲しいニュースだ。

はっきり言って僕は体罰には反対で、今回は体罰はなぜダメなのか?の話をしていきたい。

まず体罰を受けた理由の一つに「ミスをしたから」というものがある。

まずこれがおかしい。

結論から先にいうと

「ミスをしない選手など存在しない」

だからだ。

全日本の石川選手や西田選手でさえ、スパイクミスやレセプションでミスをするのにバレーを始めたばかりの子ども達に「ミスをするな!」と言い体罰を与える、それはどう考えてもおかしい話だ。

とある小学生チームの練習を見に行った時の話。

ゲーム形式の練習中、レフトの選手が二段トス(ブロックが2枚or3枚くるシチュエーション)を打ちにいった時に、コーナーに向かってスパイクを打ったのだが、惜しくもコーナーから50㎝ほどのところにボールは落ち、アウトになった。

すると椅子に座っていた監督さんがいきなり立ち上がり「ミスすんじゃねぇ!!」と怒鳴った。

練習が再開され、同じ選手にまた同じような二段トスが上がった。

今度はコートの真ん中にフェイントをしたが、相手にイージーボールとして処理され逆にポイントを取られた。

先程と同じように立ち上がり、監督さんが言った言葉は「相手に簡単なボールを渡すな!!」と叫び、ワンマン(バレー界では割と罰として行われる練習方法の一つ)が始まった。

バレー経験者の方なら体験したことがあると思われる状況だが、

ここで僕が思うのは

「これのどこに『指導』と言えるものがあるのか?」

ということです。

「ミスをするな!」というのは指導ではない。

まず始めに指導者の方に考えてもらいたいことは

「良いミス・悪いミス」

の区別をしていただきたいということだ。

「ミスに良いも悪いもないでしょ」という意見の方もいるかと思うが、これには大きな違いがある。

先程のケースであれば、コーナーから50㎝ほどのところにボールが落ちたと書いたが、逆に言えば50㎝手前に落ちていればコートに入っていたのだ。

しかし、監督から「ミスをするな!」と怒られれば、同じところにスパイクを打つわけにはいかなくなる。

次はミスをしないためにフェイントをしたら、今度は「相手に簡単なボールを渡すな!」と怒られた。

スパイクミスをしたら怒られる、ミスをしないようにしても怒られる。

選手からしたらもうどうしていいかわからない状態だ。

ここで指導する立場から何を伝えなければならないか?

それは

良いミスをした時には褒めてあげて、選手に『今のはこのように挑戦するべきなんだ』ということを理解させてあげること」

だと僕は思う。

そうしてあげれば選手は「今のミスは良いミスなんだ」ということを理解し、自信を持って同じようなスパイクを打つだろう。

それを続けていくことで、成功に繋がる可能性が上がっていく。

なのでこの場合、コーナーに打ったが惜しくもアウトになったのなら「今のは良い打ち方だったから今みたいに打っていけ」と、アドバイスしてあげることが僕は重要だと思う。

もちろん、ミス自体を良しと言っているわけではなく、上達するためにはミスも付きもので、ミスの質も向上させる必要性があるということだ。

では逆に「悪いミス」をしてしまった時はどうすれば良いのか?

その時は

「なぜそのミスに繋がってしまったのかを選手自身に考えさせる指導」

をしていけば良い。

例えば僕の考える二段トスを打つ状況で、やってはいけない悪いミスというのは、ネットに打ち込んだりミドルブロッカーの腕のど真ん中に打ち込み、シャットアウトを食らうことだが、指導をする時にはそこで「なぜそのミスが起こったのか?」を選手自身に考えてもらう必要がある。

ミスが起こった原因を選手自身が理解し、説明できるようになれば次にそのミスが起こる可能性が下がっていくし、次にこのミスを起こさないためには何が必要か?と、自分で解決策を探すことにも繋がり一石二鳥である。

ここで一つ勘違いをして欲しくないのは、指導をする際に絶対に怒るなと言っているわけではないということです。

僕が敬愛する監督アンディッシュ・クリスティアンソン(とても偉大な監督で、僕のバレー人生を変えてくれた人だが、彼の説明をするととても長くなるので今回は割愛)は、選手が彼のルールに沿っていないミス(悪いミス)をした時にはいつも烈火の如く怒っていた。

先程の選手と同じような状況で、僕も二段トスを打ちにいって、3枚ブロックのど真ん中にぶち当て、シャットアウトされた時、彼は顔を真っ赤にして両手で両目を覆いかくし「お前はこうやって目を隠してスパイクを打っているのか!?」と怒鳴られたのを今でも覚えている。

「それさっきの監督とやってること同じじゃないの?」と、思われる方もいると思うが、ここまでなら先程の監督さんと同じだと僕も思う。

ただアンディッシュの違う点は、良いミスと悪いミスの説明を事前にしていて、選手が次も思い切ってプレーに挑戦できる状況を作っていることにある。

そのあと同じ状況で、今度は彼が望むようなプレーを見せた時に「それだ!私が見たいのはそのプレーなんだ!お前にはそのプレーができる力があるんだから、次もそのプレーを私に見せてくれ!」と言ってミスをした時の何倍も僕のことを褒めてくれた。

この「褒める」という行動がプレイヤーにはとても重要かつ、必要なことで、日本の指導者(このようなまとめ方をしてしまって申し訳ないが)は褒めることがとても苦手だ。

「褒めると調子に乗る」とか「褒めると選手のためにならない」という意見をよく聞くが、僕は逆で「褒めて調子に乗らせておけば良い」という考えだ。

人間誰でも何歳になっても、人に褒められれば嬉しいもので、褒めてもらえればまた褒められたいという思いから「次はこうしてみよう、ああしてみよう」と、勝手に試行錯誤するようになり、勝手に努力して上手くなっていく。

指導者の立場からしてこんなに楽なことはない。

楽になった分、別の指導にエネルギーを注げばお互いにとってWin-Winな関係になれるのだ。

実際僕は彼にそうやって褒められることで、勝手に試行錯誤を繰り返し徐々に上手くなっていった。

もしその過程で調子に乗り過ぎてしまい、チームメイトを馬鹿にするような発言や、行動などが目立つようになってきたらそれも教えてあげてほしい。

なぜなら彼らはまだ若い、正しい方向に導いてあげるのも監督や指導者としての宿命だと思う。


次に問題なのは、体罰を受けることで選手達がスポーツを嫌いになってしまうことだ。

「あーあ今日も練習か嫌だなー」「練習に行きたくないなー」

学生達からよく聞く言葉で、なぜそんなことを言うのか?

「監督から怒鳴られるのがいやだ」「監督に怒られるから」ということを聞いたことがある。

本来好きなはずのスポーツが体罰が原因で嫌いになってしまう。

そんなことがあってはいけない。

しかし現実問題それが原因でスポーツをやめてしまった子ども達は大勢いるだろう。

僕もその1人だ。

「いやいやあなたバレーずっと続けてきたじゃない」と言われるかもしれないが、僕は小学校6年生の時に一度バレーをやめている。

小学生の時の僕は身長や、身体能力が高いわけでもなく、別段プレーが上手いわけでもなかった。

そしてまた僕も体罰を実際に受けてきた選手の1人だ。

長くなってしまうので割愛させてもらうが、やはり体罰や監督から言われた一言がとてもショックで「このままバレーを続けても楽しくなさそうだ」と、感じてしまった。

そこから一度バレーボールから離れた。

その後、中学二年生からまたバレーを始めることになったが、あのままバレーから離れたままだったら、当然だが今の僕は存在していない。

正直なことを言うと身長や体重、筋肉や年齢などが大人になった今でも、小学生の時の監督が別の人に怒鳴っているのを見ると怖くなり、身体が強張る。

ある種のPTSD(心的外傷後ストレス障害)に近いものになっていると自分でも感じる。

それだけ大人の指導者が子ども達に与える影響は大きいんだ、ということを重々理解してほしい。

「その競技を続けていたら日本を代表する選手になっていたかもしれない」そんな子ども達が1人でも減っていくように願っている。


最後にもう一つお伝えしたいことがある。

それは

「正義を後ろ盾に他者を攻撃していないか?」

ということだ。

今回の体罰の件に限らず何か不祥事を起こした人を、必要以上に攻撃する人が世の中には多い。

「こいつは悪いことをしたから攻撃しても良いんだ」と。

もちろん体罰は絶対に許すことはできないし、肯定することはない。

しかし今回の体罰の件でコーチの方は逮捕され、何かしらの処罰が下ることになるだろう。

それで全てが許されるわけではないが、当事者でもない人たちが必要以上にその人を攻める必要性は更にない。

正義を後ろ盾にし、抵抗できない人に暴力を振るうことは、体罰を行う人とやっていることは同じだと思う。

またいくら正しいこと言っていたとしても、横暴な態度をとっていたら余計なトラブルを生むことにも繋がる。

たとえ話で喫煙所以外でタバコを吸っている人がいて、

「おい、ここはタバコ吸うところじゃねえぞ消せ」

と強い口調で伝えたらどうなるか?

先程伝えた通り余計なトラブルに繋がることになる。

少し話がそれてしまったが、もし自分が誰かを攻撃していると感じた時には一度よく考えてみてほしい。

正義を後ろ盾に他者を攻撃してはいないか?」と。


今回はここまでにしたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました♪

これからも自分の考えなどをnoteで書いていきたいと思いますので、

これからもよろしくお願いします♪

♡やコメントをいただけると嬉しいです♪

それでは。

#高松卓矢 #たかまつり #体罰 #アスリート #スポーツ

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