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イギリスと日本の二拠点生活を始めました。

コロナ禍で変わっこと


コロナ禍でいろんなことが変化しました。

出張授業、企業研修のキャンセルが相次ぎ、数百万円の赤字。会社が縮小。
お客さんが減り笑いの声が小さくなった寄席。孤独におそわれ、始めたマッチングアプリ。

仕事に全力投球で会社が急成長していた私には辛い辛い出来事だった。
幸せって何だろうとかいろいろ考え直した。

コロナになってはじめたこと。

自分の心と向き合った。精神科にいき、メンタルの予防をしようとしたら、ADHD傾向にあることが判明した。ずっと苦手で言い訳していた英語を中学1年生レベルから勉強しなおし、英検3級から挑戦した。誰かを好きになって傷ついたり、好きな人と美味しいご飯を食べることの幸せに気づいた。道端に咲くお花の綺麗さにうっとりするようになった。YouTubeを頑張り、7政党の党首と対談、チャンネル登録者数12万人を超えた。
とにかく、生活が変わった。

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コロナの前までは、2016年に18歳選挙権が導入され、若者と政治の距離を身近にすることだけを考えてきた。お笑いで楽しく学べる「出張授業」を届けるために、夢中だった。お笑い芸人が先生となり、仲間の芸人さんを集め、全国に1年間で数万人に「笑って学ぶSDGs」や「笑える!政治教育ショー」などの授業を届けるようにまでなった。

1日数時間の睡眠で頑張り、自転車操業で慣れない会社経営を頑張ってきたが、その生活は変わった。時間ができたので、経営を見直したり、海外事例を勉強しなおしたりした。

今ではすっかり当たり前になったリモート出張授業、zoomでの企業のオンライン研修。そこで気づいた。

「リモートなら、いつでもどこでも仕事ができるんじゃ……?」
「コロナ禍だからこそ、新たな挑戦ができるんじゃ……?」

海外事例を取材し、日本に輸入する


コロナ禍で会社の経営についてじっくり考え、
海外の主権者教育をあらためて文献リサーチした。

日本は政治の授業(主権者教育やシティズンシップ教育)がヨーロッパに比べあまり受け入れられていない。

気づいたら、競合他社は主権者教育はお金にならないからと撤退していた。
私たちの会社、笑下村塾だけになった。

日本で政治の授業を根付かせる必要がある。
そのためには、海外での現場にもっと目を向けたい。

例えば、スウェーデンでは年間30億円、若者団体に税金で支援している。イギリスでは、市民団体がシティズンシップ教育の教材をたくさん作っていて、先生を支援する組織もある。ドイツでは、連邦政治教育センターという機関が副教材を作り超党派の議員の監査をうける仕組みがある。フランスでは、生徒代表が先生や保護者代表と対等に話す学校管理評議会という議会がある。

これらはほんの一例であるが、税金が使われていたり、政治的中立性を担保する仕組みがあったり、子どもたちを信じ、予算と権限が与えられたり、民間でも主権者教育が盛んに行われていたりする。

これらの本質的なところをしっかり見て学び、日本に馴染む形で輸入し、日本の主権者教育をアップデートしたい。


私の会社が倒れたら、日本では全国規模で主権者教育をやる民間団体はなくなるのか。それはダメだ。

挑戦の怖さ 


英語ができないからと、海外の論文や文献、ニュースから逃げていた。
日本語でしか情報をとれない。グーグル翻訳や会社の仲間に頼っていた。
海外取材の経験は豊富だが、毎回通訳さんや英語ができる人と一緒にまわっていた。100歳になっても、このまま70年英語ができないと言い訳し、勉強しないままなのか。

私は、政治の授業やライフワークにしているSDGsの取材、語学学習のため、イギリスにいくことを決意した。

出張授業や企業研修には、シーズンオフがある。そのオフのタイミングはイギリスにいこう。そのタイミングでも日本での仕事はリモートでできる。売り上げを落とさずとも行けるのではないか。

笑下村塾の中でもいろいろ相談し、いろんな意見がでたが、最終的には仲間が背中をおしてくれた。時差のため、会議や取材時間を調整してもらうなど、社内だけではなく、仕事相手の方にも迷惑をかけた。いろんな方が理解して応援してくださり、日本とイギリスでの二拠点生活がスタートした。

みなさん、ご報告おそくなってごめんなさい。
コロナだから、海外に行くことについて炎上したらいやだなぁとか、この生活がうまくいかなかったらどうしよう、取材の成果がでなかったらどうしよう、1年たっても英語が喋れなかったら恥ずかしいなぁとか、いろんな気持ちが混ざって心の整理ができていませんでした。またオンラインでとはいえ、日本の仕事を結構していたので時間的にも余裕がなくて、報告が遅くなりました。

こうして、なんとか年末から2月までイギリスにいき、取材をし、語学学校に通い始めた。まだ正直、喋れないし、何をいっているか聞き取れない。だけど、街頭インタビューで声をかけて、つたない英語で取材をして、「なぜ、あなたは選挙にいくのか?」「日本の選挙にいかない若者に何をつたえたいか」などメッセージをもらっている。笑下村塾のメンバーにも助けてもらいながら、英語で取材依頼をだし、少しずつ取材先からのOKが出てきた。

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イギリス滞在で視野が広がる


イギリスにいる日本人の方への取材やBBCの報じ方などを通して、日本にいるときよりも視野が広くなった。英語と聞くだけで拒否反応をしめしていたのに、英検準2級を先日取得し、現在2級の勉強もしている。

日本での仕事もあるため、数ヶ月おきに往復する生活になる。講演会などが少なくなるシーズンオフの時期にイギリスに行こうと思っている。今年7月には参議院選挙もあり、そこに向けた自治体連携なども強化するつもりだ。その時期は日本にいる。だから、1年間でどこまでできるかは分からない。

でも、コロナ禍だからこそ、リモートが前提になる社会だからこそ、新たな挑戦ができた。慶應義塾大学の非常勤講師もつとめていたが、コロナ禍だから全部zoomの授業だったのでできた。企業研修や出張授業、社内の会議もオンラインでおこない、番組出演などもした。

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結果的に視野がぐんと広がった。例えばウクライナ問題についていろんな国の人と意見交換することができた。イギリスは多国籍の国だ。大学に取材にいっても、当たり前のようにいろんな国の人がいる。

この短期間でも、日本が世界からどう見られているのか、日本の何が遅れているのか、逆に日本の何がいいのかなど知ることができた。

社会を変える力を重視したい


OECDでは、エージェンシー教育に力をいれていることも知った。エージェンシーとは、変化を起こすために目標を設定し、責任をもって行動する力。

子どもにツケを回さない。そのために行動しようと私は言ってきた。SDGsとは社会を変える17の目標であり、変えることがキーワードなのに、そこが軽視されている。「日本の政治教育の最大の問題点は、社会を変えた成功体験がないことだ。」そうずっと言ってきた私にとって、今ヨーロッパがもっている危機感と、自分が感じていることが「変革する力」を重視する点で似ていることを知った。

そして、そもそもイギリスなどでは、自分の意見を表明することが重視されているため、それができていない日本では、いくら市民権教育のうわべだけ輸入してもだめだということにも気づいた。

消費されるエンタメから距離をとる


ジャーナリズムや主権者教育は1年で大成するものではありません。ずっと種をまき、大事にそだてることでいつか花開くと思っています。だから、少しずつ、少しずつ力を蓄えます。だからゆっくりと見守っていただきたいです。

イギリスにいる間、いくつかのメディアはスタジオにいけず、お断りもしました。前なら悔しい、残念だと思っていたでしょうが、その気持ちも和らいでいます。昔、大学2年生のとき、お嬢様芸人としてデビューしたての頃はテレビに出ることが目的化していたこともあったと思います。今は違います。論破ブームの波に乗ることは、主権者教育とはかけ離れているし、議論の仕方やよい「熟議」をするための工夫を知れることは、かげがいのないことです。私はこの2ヶ月で、時間がゆっくり流れ、その中で深い議論をいろんな人とすることが、将来の私にとって大事な時間になると確信しています。

流行におわれ、ただエンターテイメントとして消費される言論空間からは身を遠ざけます。現場をみて取材する、歴史に残るような教材をつくる、日本での主権者教育の礎をつくり、後世に残るように仕組み化する、そういうことに時間をかけたいと思っています。

決意

イギリスには私のような主権者教育を担う団体はたくさんあります。チャリティ・寄付文化によっても、なりたっています。ぜひ私の活動もご支援いただけますと幸いです。今回の取材にかかる経費は交通費、リサーチ代などほとんどは自腹の予定です。皆様からいただいたお金は、今後の YouTubeの番組制作費、出張授業にかかる経費に使わせていただく予定です。ご支援のほどお願いします。

https://www.takamatsunana.com/

ぜひこんなところ取材してほしいというリクエストもお願いします。4月にイギリスにまた取材にいき、5~7月は日本で日本の選挙取材をし、8月以降また日本での仕事の様子をみながらイギリスにいきその際、ヨーロッパ各国にも取材を広げたいと考えています。

取材の方も少しずつお引き受けいただいておりますが、苦戦していますので、現地の教育現場とおつながりのある方など、お力添えいただける方いましたら、ご連絡いただけますと幸いです。

私の決断を応援してくれた笑下村塾の仲間のおかげで一歩踏み出すことができました。取材のご協力もたくさんの方にしていただいており、あらためてたくさんの人との出会いと応援に感謝しています。

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基本的にすべての記事は無料でご覧いただけます。もし有益だと思っていただけたらサポートいただけますと幸いです。「笑いで世直し」するための活動費(イベント代、取材費等)として大切に使わせていただきます。