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私がNHKの暴露本を出さない理由。

私は今年の7月にNHKを辞めた。
およそ2年半で辞めた。

思えば、毎日辞めたいなと思っていた気がする。
ずっとずっと相談に乗ってもらっていた人がいる。

元NHKのアナウンサーの堀潤さんだ。

堀さんは NHKを辞めたばかりのとき、私は大学2年生だった。
ニッポン放送で宇野常寛さんの番組の作家見習いをしていた。

宇野さんが親友として、堀さんを応援していた姿が印象的だった。

それから1年後、私は日本テレビのお笑いの大会で優勝した。
お嬢様芸人として、芸能界というテーマパークに入園した。

「お笑いを通して社会問題を発信したい」という私のインタビュー記事をよんでくださったスタッフさんからお声がかかり、私は堀さんが司会の番組に出演した。

外務省が初めてバラエティ番組を制作し、それをテレビで流すというもの。
私はリポーターとして、バングラデシュにいった。

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現地で家事使用人として働く少女たちの取材をした。
衝撃的だった。

そこから私は開発教育や SDGsというものに興味を抱くようになる。

https://www.amazon.co.jp/dp/4774330949/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_63pnFb9EPT42S

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それから紆余曲折あり、お嬢様芸人ではなく、
社会問題をよりディープに取り上げられる芸人になりたいと思うようになる。

18歳選挙権が導入され、笑下村塾という会社を起業し
若者と政治をつなぐ活動をはじめた。

全国の学校に出張授業にいくようになり、
選挙特番のパーソナリティに起用されたりするようになった。

そこで政治家にのらりくらり質問をかわされたり、
フリーの政治ジャーナリストの人のポジショントークにうんざりしたり、
ジャーナリストとしてもっと腕をあげたいと考えるようになった。

自分が憧れる人の出自を調べると、大手メディアでジャーナリスト経験がある人がおおく、
大手メディアで修行をつむのもありだと考え、ダメ元でNHKをうけた。

うかった。まじか。

自分の会社を閉じてまで NHKに入るつもりはなかったので
人事と相談した。

その最中に、文春砲にあい、
NHK内定がYahooのトップニュースいりして大変だった。

NHKに入るか悩んでいたときに、
堀さんがご飯につれていってくださった。

「NHKに絶対に入るべきだ。NHKでしか学べないことがたくさんある」

NHKに恨みがあるとおもっていたので、
堀さんのアドバイスは意外だった。

辞めた人がいうんだから間違いないだろうとおもい
大きな後押しとなり、私はNHKに入った。

はいって早々、大組織ゆえのいろんなことの歯痒さがあり、
やめようと思った。

内部で知り得たことは書けないので、ここでは詳細はのべない。


堀さんに相談した。

「せっかく北朝鮮にはいったんだから、取材し続けて」
満面の笑みで、焼肉をご馳走してくださりながら、堀さんはそう話す。

「え?この人、北朝鮮だとわかっていて、
私に入ることをすすめたの?ひどい!」
とはおもったが、気持ちを切り替えることにした。

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またしばらくたって、つらくなったときに堀さんの本を読み返して、堀さんに質問した。

「堀さん、もっと NHKでひどいこと、つらいこと、恨みはたくさんありますよね?なんでそれを本にかかないんですか?」

「そういうことを書いても意味がない。だったら、別の新しいメディアをつくり、こういうことをやってくださいということを示したい」というようなことをおっしゃった。

めちゃくちゃかっこいい。

辞める時、いろいろ思うところがあった。
怒りや不満がないかといえば嘘になる。

視聴者や日本のためにNHKがはたすべき役割はもっとあるし
へんな忖度や政治的なことにうんざりしたこともいっぱいある。

でも、私はそれを全部飲み込むことにした。

NHKをかえることが私の活動のゴールではないからだ。
それにNHKの中でたたかう人はたくさんいる。

そういう人たちを信じたい。

世の中を変えるため、
NHKで一緒にたたかった仲間や尊敬する先輩方と一緒にまた番組をつくったり
メディアをこえて連携したい。

そして、辞めた今も、わたしを応援したり、
叱咤激励してくださる先輩がたくさんいる。

そんな堀さんと先日1年を振り返るというライブ配信を実施した。
すごくすごく楽しかった。

https://youtu.be/MDEmJw6QdpA

こんな新しいメディアの形がありますと
どんどん提示していけたらと思う。

堀さんを見て、やめるときに暴露本を出すのではなく、時事YouTuberになる決意がつき、クラウドファンディングを始めることができた。

実際に、619人の方からご支援いただき、
605万円あつまった。
https://camp-fire.jp/projects/view/229341

新しい形の、既存のメディアでやっていない形の
ジャーナリズムを提言できたらと考えている。

実際、今年は28人の人と対談させてもらった。

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https://www.youtube.com/user/takamatsuch

堀さんは、機材のこととか、取材の仕方とか、番組での失敗とか、
堀さんがすごくいつも優しくアドバイスくださり、本当にありがたいです。

わたしも、自分の力をつけ、下の世代に還元できるそんな人になりたい。

そして、私の尊敬する先輩がまた一人 NHKをさることを知った。

新しいことをする人を大組織がいかに抱え込めるか。
どう人材をいかしきれるのか。

独立してジャーナリストになると、
事実をおい、ポジショントークではない形で伝えることの難しさがとてもよくわかった。

自民党の総裁選や野党の結党大会を取材したときに心底感じた。

特定の政治家や政党をもちあげれば、そこから仕事が入りやすいからだ。
政治家との距離も縮まり、情報もとりやすい。

現場で取材したことを政治家にぶつけ社会の課題をかえていく。
政局にのみこまれずに、社会課題を政治でかえていく。

それができなければ、永田町や霞ヶ関に足をはこんでも、
あまり意味がないのではと私自身は今感じている。

NHKをやめた今、スポンサーに頼らず、
視聴者のための番組をつくれる、
視聴率にこだわらず、世の中のために啓蒙できるNHKの存在の大きさを改めて感じている。

人もお金もかけられる。

なんとか圧力に屈したり、
民放みたいになることを防いでほしい。

ジャーナリズムとは何か、
伝えるとは何か
事実を伝えるとは何か
事実の並べ方とは何か、
あらためて濃い時間をすごせたNHKに感謝だ。

そして年末、堀潤さんと1年間を振り返れたことが嬉しい。

https://youtu.be/MDEmJw6QdpA

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私は今プロフィールもできる限り
元NHKというのをいれないようにしている。

NHKの暴露本の依頼も悪口をいってほしいというような取材依頼も断っている。

NHKがよくなるためのダメ出しやメディア全体の意見をいう企画や自分の考えはのべているが、内情を暴露したり、個人的な恨みをいうようなものはすべて断っている。

新著の『お笑い芸人と学ぶ13歳からの SDGs』の中にも一度も NHKの文言はプロフィールも宣伝にもでてこない。

https://www.amazon.co.jp/dp/4774330949/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_63pnFb9EPT42S

NHKで学んだことをいかし、それを新しい世界に落とし込む。
取材ができるYouTuber、即戦力の高いYouTuber、ファクトをつみかさねるお笑いなどだろう。

新しい挑戦はまだ始まったばかりです。

社会を変える仲間も募集しています。

https://note.com/takamatsunana/n/nfddf62ac4b64

一歩ずつ、頑張っていきたいと思います。


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