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【書評】日本史で学ぶ「貨幣と経済」

人々が貨幣に感じる価値とは何か?
日本の貨幣経済の成り立ちと変遷を調べ出すと様々な疑問にぶつかる。
富本銭や皇朝十二銭の機能、渡来銭の流入の理由や鐚銭、商品貨幣が流通した時代の意味するところ、江戸幕府の貨幣政策など、日本の貨幣政策の変遷に触れると何故そのような事象が展開されたのか謎が深まるばかりだ。
無文銀銭からはじまり、幕末の金流出に至る貨幣の日本史は私たちに何を教えてくれるのか?
本書は、貨幣の歴史を題材として、現代の貨幣、さらには未来の貨幣を考える論理の抽出を試みた書。


本書の著者

飯田泰之著「日本史で学ぶ「貨幣と経済」」PHP文庫刊
2023年2月15日発行

本書の著者の飯田泰之氏は、1975年、東京都生まれ、埼玉県日高市育ち。明治大学政治経済学部教授。東京大学経済学部卒業後、同大学院経済学研究科博士課程単位取得。

本書の章構成

本書の章構成は以下のとおり。

第1章 国家にとって「貨幣」とは何か―律令国家が目指した貨幣発行権
1 はじまりの貨幣
2 本格的な名目貨幣としての和同開珎
3 その後の和同開珎と銭が没落する時代

第2章 貨幣の基礎理論を知る―マネーは商品か国債か
1 物々交換神話とマネーのヴェール観
2 負債としてのマネーと貨幣法制説
3 貨幣の完成と無限の循環論法

第3章 信頼できる債務者を求めて―貯蓄への渇望が銭を求めた
1 古代から中世の日本経済
2 銭なき時代から貨幣の機能を考える
3 中世銭貨はいかにして貨幣となったのか

第4章 幕府財政と貨幣改鋳―日本における「貨幣」の完成
1 三貨制度と江戸経済の260年
2 元禄の改鋳―名目貨幣への道
3 転換点としての元文の改鋳
4 完成する日本史の中の貨幣

終章 解題にかえて―歴史から考える転換期の貨幣


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