マガジンのカバー画像

青史探究

56
街道と関連する都市にまつわるコラムを集めました。週二回の掲載を予定しています。
運営しているクリエイター

2023年5月の記事一覧

【歴史メモ】鋳銭司と貨幣鋳造中絶の謎

958年(天徳2年)に鋳造された乾元大宝(けんげんだいほう)を最後に、日本では国家による貨幣鋳造が近世初期まで中絶した。 銅銭に関して言えば、1606年(慶長11年)に江戸幕府によって発行された慶長通宝(けいちょうつうほう)まで国家による貨幣鋳造は途絶えた。 中絶期間は約600年以上に及ぶ。 なぜ、貨幣鋳造は中絶したのだろうか? 鋳銭司 鋳銭司(じゅせんじ)は、古代日本に置かれた令外官の一つで銭貨鋳造を司った。ただし、臨時におかれた役所だそうで、必要な量の貨幣を造り終える

【道と歴史】船橋宿の謎

船橋は江戸時代の中期以降、佐倉街道最大の宿場町として賑わった宿場町だ。 「佐倉街道」以外にも、徳川家康が九十九里方面での鷹狩のために土井利勝に命じて整備した「東金御成街道」や館山まで通じる「房総往還」の起点であり、成田詣でも賑わった「行徳道」とも繋がる交通の要衝であった。 しかし、なぜか船橋宿は正式は宿場ではなく、間の宿と呼ばれる休憩施設という位置付けの町だったというのだ。 船橋市西図書館郷戸資料室のサイトには、「公式文書には「船橋宿」と書けないので、弘化元年(1844)に