スカラベ(食事時注意)


※こちらは2012年に他ブログに書いたものの転載となります

 奈良の若草山は、美しい芝に覆われている。
 その様はゴルフ場とみまごうばかりだが、年に1度の山焼き以外は人間による手入れはあまりされていないそうだ。


 若草山に生息するノシバの種は堅い殻に被われていて、それを食べた鹿の体内で消化液によって殻が軟らかくなり、発芽しやすい状態になる。
 フンと共に排出された未消化の種は、フンを食べる昆虫のフンコロガシによって土中に運ばれる。
 また、フンコロガシは土を耕すことで芝の生育を助ける。
 そうして元気に育った芝をまた鹿が食べる…というサイクルが、遥か昔から繰り返されてきたそうだ。


 フンコロガシと言えば、スカラベである。
 古代エジプトでは、フンの中から幼虫が生まれる様子から再生と復活の象徴とされ、その姿は壁画にも描かれている。
 主に哺乳類のフンを、逆立ちするように後ろ足で転がして運ぶ。
 …エジプトでその辺にフンを落としてる哺乳類って何なんだ?ラクダ?
 あの小さな虫が丸めて転がすには、大型動物のフンって大変そうだ。


 そこいくと若草山のフンコロガシは楽だ(シャレではない)
 なにしろ鹿のフンは小さく、既に丸まっている。
もう、フン転がし放題だ。


 母にそう言うと、母は言った。
「若草山のフンコロガシは、あそこに住み着いてくれたご先祖様に感謝せなアカン」


 私がもし来世でフンコロガシに生まれ変わったら、ご先祖様に感謝しつつ若草山に生まれたいと思う(笑)

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