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雨がふります 雨がふる

今日は一日、梅雨らしい雨降りでした。
地震で被災された方々は辛い思いをされているのだろうと思いつつ…

雨がふります 雨がふる
遊びにゆきたし 傘はなし
紅緒のかっこ(木履)も緒が切れた

北原白秋の詩です。私の世代以上の人なら知っているでしょう。
子どもの頃は歌詞の意味もわからずに歌っていました。
物悲しいメロディが心に残り、今でも静かに降る雨を見ると浮かんできます。

傘がない、と言うと井上陽水の歌も思い出すのは、やはり私の世代と少し上の方々でしょうか。

雨や傘を題材にしたお話や絵本もたくさんありますね。
やしま・たろうの『あまがさ』(福音館書店)は、ひとり娘のモモが初めて傘をさして歩いた日を描いた絵本です。
淡々と描かれていますが、モモを慈しみ見守る気持ちにあふれています。
この絵本が描かれたのは1958(昭和33)年ですから60年も前ですが、少しも古くなっていません。

雨を待ちかねていたモモとは対照的に、傘をさしたがらないおじさんもいます。
佐野洋子作『おじさんのかさ』(講談社)です。
教科書で読んだ方もいらっしゃいますよね。
娘が小学生の時、音読していた口調を今も覚えています。

素敵な傘を濡らしたくなくて、傘を持っているのに他の人の傘に入れてもらっちゃうおじさんて…佐野さんらしい皮肉とユーモアにクスクス笑ってしまいますね。

太田大八作『かさ』(文研出版)も素晴らしい作品です。
初版は1975(昭和50)年。
画面は全て白黒で、女の子の持つ傘だけが赤く彩色されていて、今見てもお洒落です。
文字はありませんが、絵だけでストーリーが伝わり、ほのぼの幸せな気持ちになります。

傘をささない話もあります。
『わたしと雨のふたりだけ』ジョアン・ライダー作、ドナルド・カリック絵、田中とき子訳(岩崎書店)は海に遊びに行った少女が雨に降られ、しばらく雨を楽しんだ後に帰宅し、ママが挿れてくれた熱いココアを飲んでほっとひと息、というお話。
絵もタイトルも素敵なんですが、原題は『A Wet and Sandy Day』というのです。
湿って砂だらけの日? このままのタイトルだったら買わなかったかな?
翻訳者の力って大事ですね(^_^;)

もう一つ、私の大好きなあめの絵本。
片山健さく『コッコさんとあめふり』(福音館書店)。
コッコさんシリーズはどれもいいのですが、私はこれが一番好きです。
片山健さんの絵本は、ちょっと見には可愛くない、と思う方も多いのですが、馴染んでみると味わい深くて好きになる…のは私だけではありません。

まいにち まいにち あめふりなので、コッコさんはてるてるぼうずをつくりました。
でもなかなか晴れません。
コッコさんはおてがみを書いて てるてるぼうずの中に入れたり、たからものを入れたりします。
それでも それでも つぎのひも やっぱり あめふりでした。
てるてるぼうずはつかれているんだ、と思ったコッコさんは、ふとんをしいて てるてるぼうずを やすませてあげました。
そしてようやく・・・ね!

コッコさんとてるてるぼうずの表情が愛おしくて、娘たちの為に買った幼児絵本なのに、すっかり私のお気に入りです。

優れた絵本は読者を選ばない、というお話でした(^-^)

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