泣くときは、気付かれないように

こんにちは、向上心たかコです。
今回は、オリジナル曲の「Nakigoe」のエピソードを綴っていきます。
初回なので、文が乱れていたり、読みづらいところもあるかもしれません。
親のような温かい気持ちで、のんびり見ていってください!


『Nakigoe』

同棲してから月日が経ち、一緒にいることも日常になってきた頃。
休日でも外出はしなくなり、家で自堕落に過ごす日々。

あの頃はなんでも 一緒なら、楽しかったのに

こんな日々でも、この人と一緒ならそれでいいと思っていたのに
芽生えてしまった、些細な感情。

そんなある日のこと、同棲してから初めて 大きめの言い合いをした。
感情を抑えきれず、涙は今にも飛び出していきそうだったけど
あなたを困らせたくないから、堪えた。

その日の夜は、別々に寝室へ行き
少し離れて布団に入った。

「今、手を握ってくれたら」

そんな器用なこと、出来る人だなんて思っていないけれど
淡い期待に縋るほど 私は寂しかった。

窓から見える魚座の満月はとても綺麗で
私の気持ちに追い討ちをかけるようだった。

こんな素敵な夜に仲直りできたら
嫌なことにも目を瞑って、なかったことにできたのに。

こちらを向く素振りもないあなたに、少し腹が立って
その日は、寝たふりをした。


翌日から、お互いあまり会話も交わさないまま
1週間が経った
私はこんな生活に耐えきれず

別れを口にした。

私の気持ちを、分かって欲しかった
それだけの軽い気持ちだったのに
あなたはそっと頷いて、寝室へと向かった。

魚座の満月の夜
泣き声に気づいて、
手を握ってくれてたら、抱きしめてくれてたら
仲直りできてたら

寂しい気持ちに、気付いてくれていたら
明日も一緒にいて、笑えていたのにな
手遅れになったあとで
後悔しても、意味がないのに

今夜は、少しかけた月が見えた。

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