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最近のスタートアップ資金調達環境と2023年のトレンド予測(前編)

お疲れさまです。
千葉道場ファンドの石井(Twitter: @takaki_ishii)です。

元起業家で現在千葉道場ファンドというVCで投資家をしています。主にシード・アーリー(プレA)またはレイターステージで投資しています。(超ざっくりな自己紹介)

例年ダイヤモンドシグナルさんの記事で来年のトレンド予測を書かせていただいておりますが、個人noteでは直近のスタートアップの資金調達環境も添えて、2023年のトレンド予測をできればと思っています!(が、だいたい外れます…笑)

前編では直近のスタートアップの資金調達環境に関するシェアをします。

※使っているスライドは千葉道場ファンドに投資してくださっているLP投資家の方向けにご案内したもので、半年おきに石井個人が感じているスタートアップの資金調達環境についてまとめたものになります。

まずは半年前の市況から見ていきましょう。

2022年5月時点の調達環境

※あくまで石井個人の印象をまとめた資料となります。

プレIPOステージから見ていきます。2022年の春は2021年末より始まった株式市場の冷え込みが影響し、上場延期が相次いでおりました。

また、(2021年後半より感じていたことですが…)シリーズAからB以降にあるスタートアップの選別がかなりシビアになった印象でした。 一定の成長率やPMFが見えていない場合は、 フラットラウンド  / ダウンラウンドに関わらず資金調達が難航するケースを目にしました。

一方で、シード・アーリー(プレA)ステージ。具体的には時価総額10億円未満のスタートアップについては、まだ仮説検証フェーズと言うこともあり、そこまで資金調達するハードルは高くなかったものと感じていました。

総括すると、レイターステージから雲行きが怪しくなってきており、早くとも2023年末までは逆風が続くと言う予測をしていました。(この点については、現在も変わっていませんが・・・)

そこから半年が経過して、今回は以下のようなスライドになりました。

2022年11月の調達環境

※あくまで石井個人の印象をまとめた資料となります。(2回目)

変わったところは赤枠で囲っている箇所で、シード・アーリー(プレA)およびプレIPOステージの見立てに大きな変化があります。

プレIPO、レイターステージから見ていきます。

やはり気になるのは、最近複数の事例が出ている“大幅ダウンラウンドIPO”です。 直近の株式市場の環境を鑑みれば、一定仕方がないのかもしれませんが、前回・前々回ラウンドの時価総額から鑑みると、かなりシビアな評価になっている印象です。

残念ながら、2023年に入って以降も同じようなケースをみるのではないかと感じており、やはり早くとも2023年末までは同様のトレンドが続くと考えたほうがよさそうです。

私たちVCは、未上場株式が主な投資対象となりますが、想定しているEXIT手段はIPOであることが多いため、 株式市場の相場に一定の影響を受けてしまいます。

レイターステージでの資金調達は、直近の新規上場案件の影響を多分に受けがちです。そのため、スタートアップの想定している上場時期が近ければ近いほど、シビアな環境であると思っております。

その影響を受け、最近ではシリーズA以降のいわゆるミドルステージにおいてもダウンラウンドで資金調達を行う事例も増えてきました。ミドルステージは半年前から選別が進んでいる印象はありましたが、さらに厳しくなっている印象です。一方で 急成長が期待されるスタートアップには巨額の資金が集まりやすくなっているところも事実です(私達の投資先でも、びっくりするくらい引き合いの強いスタートアップが複数ございます)。

そして最後にシード・アーリー(プレA)ステージの資金調達環境について。

半年前までは比較的影響を受けていなかったシード・アーリー(プレA)ステージですが、 最近こちらも雲行きが怪しくなっていると感じています。

具体的には、時価総額5億円以上のアーリー(プレA)ステージのスタートアップに求める事業進捗の要求レベルが以前よりも高くなっていると感じています。

背景にはシリーズA以降の激しい選別があると思っており、アーリー(プレA)ステージの時点で時価総額10億の壁を越えられるか、次ラウンドでしっかり資金調達できるか否か、各投資家が以前にも増してシビアに判断しているのではないかと推測しています。

また、以前はリード投資家が決まればフォロー投資家も比較的早く集まるイメージでしたが、最近はそんなことがなく、フォロー投資家も以前にも増してシビアに投資先を選定している印象です。

くどいようですが、私はこのトレンドは2023年末までは続くと考えており、その前提で経営に向き合ったほうが良いと考えています。ですから、一部投資先に対しては「とにかく省エネで、生き延びることを優先しましょう」と伝えています(もちろん、アクセル踏むべきときに踏むことも事業成長では重要ですので、判断がとても難しいことが多いのですが・・・)。

・・・・・

ということで、スタートアップの資金調達に関して、あくまで私個人が感じていることをまとめました。

立場によって見える景色は異なると思いますので、是非皆さんのご意見もお聞かせいただけると嬉しいです。あと、Twitterとかでシェアいただけると泣くほど喜びます…笑

そして最後に宣伝を…

厳しい市況が続きますが、千葉道場ファンドとしては来年もシード・アーリー(プレA)ステージのスタートアップにたくさん投資させていただきます!リードもフォローもやりますので、起業家の方はお気軽にご連絡ください!(TwitterのDM開放しています)

前編は以上となりまして、次回は2023年のトレンド予測をします!(今週更新予定)

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