妄想不倫の黄昏

２００歳程度の歳の差では年の差婚とは言わなくなって久しいし、インターネットという言葉が人類の記憶から消え去った今では、網膜に映った映像や鼓膜を震わせる音声が果たして現実か仮想か？なんていう議論は遥か彼方昔になってしまった。

とはいえ、妄想した瞬間に不倫だという決めつけには絶対反論すべきだろう。

人の自由は「我思う故に我あり」にしか無いだろうに...。妄想してとんでも無い痴態を繰り広げる脳内自由が脅かされるのはもう勘弁だ。性的興奮とは知的逸脱の距離感にこそありとは九鬼周造か谷崎潤一郎の言葉だったようなそうじゃなかったような...。

桃太郎が鬼と同衾する夢を描くことに精神の極北を垣間見た２０世きアジアの女子たちの自由精神に乾杯。とはいえ晩御飯のおかずからごぼう天がなくなるのだけは避けたいから「ごめんね、赦してね。お前しか見えてないよ」と詫びる俺はリアリストだ。

（インスタントフィクション Story 029）

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