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穴についての唯物論

私には穴があるから....その子はそう言って微笑んだ。

その時は「穴じゃないでしょ!」と、笑いながらいなしたんだけど、

寺町通にある信長書店で、大量に販売されている様々な形状、意匠の「穴」の数々を眺めた時、その子が言っていた意味が少しだけ腹落ちした。

男は穴に惹かれ、女は穴を差し出す。それだけのことだと割り切ろうと思えば思える。それどころかその唯物論的繋がりの方が安心し合えると言う割り切りは清廉と言うべきか、潔癖と言うべきか、何か凛々しさすら感じる..。

その子は今どうしているだろう?

仮にその子を穴子と呼ぼう..。今はただ純粋に、穴子と、穴の話をただただしたいと思っている。

(インスタントフィクション Story 025)


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