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変化に富んだドリブラーへ。横浜Fマリノスユース・椿直起が広島の地で示した信念とプライド、そして誓った未来。

最後の最後で大仕事をこなすことが出来なかった―。

タイムアップの瞬間、横浜Fマリノスユースの背番号7・椿直起はその場に呆然と立ちすくみ、スタンドへの挨拶を終えると、一番先にロッカールームに下がって行った。

プリンスリーグ関東最終戦で大宮アルディージャユースを1−0で下し、2位でフィニッシュした横浜Fマリノスユースは、2度目のプレミアリーグ昇格を懸けてプレミアリーグプレーオフに臨んだ。

トーナメント方式で2回勝てば昇格を手にすることが出来るレギュレーション。1回戦で北海道1位の旭川実業に7−0と大勝し、決定戦は東北1位の尚志高との対戦となった。

戦前の予想はマリノスユースが優位だった。実際に前半を観た段階でその予想が正しいと感じた人は多かっただろう。立ち上がりからマリノスユースは、期待の1年生FW津久井匠海を軸に、椿、榊原彗悟、松田詠太郎の1.5列目が果敢に仕掛けて、攻撃のペースをがっちりと握った。

特に椿のドリブルは効果覿面で、高い位置でボールを受けては、相手の逆を取りながらボールを前に運んで行くことで、尚志の守備ラインを下げさせるだけでなく、マークの歪みを生み出していた。

29分には榊原が先制弾を叩き込んで、1−0のリードで後半に突入すると、そこから徐々に潮目が変わり始めた。

尚志は1回戦のJFAアカデミー戦で負傷をした2年生エース染野唯月を投入すると、さらに攻撃のカードを切って来た。彼らが前線からのプレスからのショートカウンターで攻撃の形を作り出すと、マリノスユースのリズムは徐々に崩れて行った。

60分にはDFラインのパス回しで染野のプレスに合うと、GKへのバックパスがそのままゴールに入ってしまった。まさかのオウンゴールで同点にされてしまうと、90分には相手の得意とするセットプレーで、染野に痛恨の決勝ヘッドを浴びて、タイムアップの時を迎えた―。

椿にとって、昨年のプレミアリーグイーストは苦しい戦いの連続だった。思うように勝ち星を積み重ねられず、チームは最下位でプリンスリーグに降格。1年でのプレミア復帰を目標にしていたが、届かなかった。

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