依存症と『I am OK』

依存症臨床で患者からよく聴く言葉。

『人は裏切るが酒は裏切らない』
『パチンコをしている時だけは辛い事を忘れられる』



依存症を予防するのは、酒やギャンブルやゲームを単純に禁止したり制限することではない。
多くの人々はそんな事しなくても失敗を繰り返す中で適度に使うことが出来るようにになっていく。


依存症が根性で治ったり予防できるのであれば滝行をする道場にでも行かせればいい。
アルコール依存症者と『もう飲みません』と約束させることはとても簡単だが、約束で止めてくれるなら皆苦労しない。



依存症は、何故専門的な治療や関わりが必要なのか?

それは依存症者が、信頼していた人に裏切られる困難な人生を、他人の期待に応えるだけの空虚な人生を歩んできた中で、深く深く人間不信となり、世の中に絶望しているからだ。

だから、心の奥底から自分を見つめ直すという心理的治療プログラムや、世の中には信頼していい世界もあるんだという事を感じる関わりを長期間体験していくことで、人生への根本的な信頼を取り戻していくと、依存症から回復していく。


自分の人生に『I am OK』と感じられるように傷つけられ続けてきた自尊心を回復していくことが人生を取り戻す核となる。



今、子ども達のゲーム依存予備軍が増えている。

必要なのは罰なのか?制限なのか?

ゲームを減らす約束をすればいいのか?

大人の期待に応えさせてゲームを減らし、勉強や習い事や塾や部活をさせることなのか?

現代の子供は、子供らしい自分の世界を生きているのだろうか?
子供らしく遊べる場所はリアルな現実世界にあるのだろうか?


スケートボードで弾ける笑顔を輝かせて失敗しても『I am OK!』と叫ぶ若者と、

近所の子ども達が遊ばない(遊べない)公園と、

夏休みも夜遅くまで塾で勉強している小学生をみて、

色々と考えさせられる暑い夏です。

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