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#027 左ハンドルの宇宙
「うわっ、ちっちゃ」と彼女が言った。そして、「なんかさ、恋が生まれそうじゃない?」とも。
助手席に乗り込んだ彼女の左腕がすぐそこにある。少しはりだした彼女の肘と、僕の肘との間にできるスペース。1速と2速を行き来する時は離れ、5速に入ると近づく。体温を感じるほどに。
スペースって変な言葉だと思う。ほんのちょっとした隙間もスペースなら、宇宙もスペース。たった数センチ、もしかしたら数ミリなのに、僕にとっては何億光年も彼方だった。それを埋めるのは、飛び越えるのはロケットでも難しい。
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