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#073 カチャカチャビンビンさせながら

スズキ・スーパーキャリイ(いわゆる軽トラだ)にかれこれ7日間ほど乗っていない。原稿がはかどらないのは、きっとそのせいだ。ちょっとした禁断症状である。

あ、そうだ。『CAR GRAPHIC』の60周年記念号をまだ買っていなかったっけ。というわけで、近所の本屋さんへ行くことを口実にエンジン始動。左手は前へ後ろへカチャカチャと行ったり来たり。あーこれこれ。やっぱり落ち着く。というか、逆だね。回転数と連動して心拍数もビ~ンと上昇。溜まっていた気持ちが吐き出され、あーすっきり。

軽トラを運転していて心地よくなれるのは、余計なおもてなしや気遣いがないからだ。例えば携帯に電話が掛かってきてとった時、「お忙しいところすみません。今、お電話よろしかったでしょうか?」と確認するひとが多い。それが一種のマナーになっている。でも僕は、このワンクッションが不要だと考えている。電話に出られるから出ているのだ。それよりも用件に入ってくれた方がずっといい。もしもまずかったら、こちらからそれを伝える。さらに言えば、この「よろしかった」という言葉の使い方が気になるのだけど、それはまぁさておき。

ともかく、軽トラにはこういう七面倒くさい前置きがない。必要なことに対して必要なだけ応えてくれる誠実な感じ。精確にはちょっと足りない部分もあるのだけれど、それはアクセルをちょっとばかり多めに踏み込み、ステアリングをちょっとばかり早く回せば大体は解決する。

軽トラにはなんの煩わしさもないところがいい。


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