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オトナの読書感想文 〜第2回〜

ビジネスの未来  山口周 著

●満足度
★★★☆☆ (3.4)

●感想
【元コンサルタント視点として】
さすが、元一流コンサルタントとして、ロジカルで、非常に概念的だった。
エビデンスや、過去の偉人の言葉、メタファーも多様で、帰納演繹と巧みに論理づけられていて説得性はあった内容。

たしかに、「成長」のフェーズを越え、「停滞」(本著では「高原社会」)の最中で、我々はどこに向かうべきか、どう生きていくべきかという問いについては考えさせられるし、「停滞」でも思考停止せず、自らが一人一人が「静かな革命家」として、声を挙げ続ける点に関しては全くその通りだと感じた。

【幾分、概念的すぎる】
ただ、論理としては凄くその通りだし、納得するんだけど、結局著者の具体的なメッセージや今後我々が行動すべき指針について、幾分幻想的かつ、問いを投げかけるだけに過ぎなかった印象だった。

(上記、コンサルタント視点とトレードオフとは思うが)

また、その概念も、すでに私が目に触れたことのある内容を言い換え、そして綺麗に概念にしているところについては、さすがコンサルタントとも思うし、アートを語る方が描く本なんだな、と感じた。

実際、書いていることは、例の西野氏のよく言う「クラウドファンディング」の仕組みや、高橋博之氏のいう「共感がお金になる時代の新しい生き方」のような”HOW”を多少言葉変えて、概念化した印象を私は受けた。

【生々しさが欲しい】
どうしてこの本が私に染み込まなかったのかな、と考えた時、なんていうか、著者自らが経験したことや現在進行形で進めている(進めていた)ことを自らの言葉を用いて語るのではなく、第三者のファクト(マスデータや過去の偉人からの言葉など)を用いていることにより、今この時代に著者が変革行動を自らが起こしている様に感じなかったことか大きいかと思う。

→評論することが彼の生業で、それが変革行動なのかもしれないが、私にとってはそれは物言いでしか無い人として感じるのは予めお詫びしておきたい。

例えるなら、この本は曇りなくまじりの無い、飲みやすい軟水のようにさらさらと流れていく。引っ掛かりはないんだけど、パンチがない。

経験した人が語る、何か血生臭さや泥臭さ、いわゆる、「エグみ」に近い引っ掛かりが欲しいところが正直な感想である。

いわゆる、私も前職一年弱ほどコンサルタントやってた端くれなだけに、やっぱコンサルの言うことや職種と肌が合わないのかな、とある一方で感じた本でした。ただ、もちろんこの本でも沢山勉強にはなりました。

あくまで個人の感想なので、悪しからず。

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