ゲーマーの反省会とリフレクション
昨年度末の教職大学院の授業で院生らに、自身らの学びの振り返りに加えて大学院説明会や広報媒体などでも使うのを想定して、「総合Pでの学びの実際」を書いてもらったのだが、興味深いものが多い。彼らがどんなふうに院での学びを受け止めてどんなふうに役立てているのかが、そこからうかがえる。
例えば次のもの(あまりに面白かったので、私のSNSでの利用許諾も本人から得た)。
院で身につけてきた省察(リフレクション)の深め方、そのための対話の仕方を、趣味のeスポーツ観戦のほうにも援用している。ALACTモデルの「9つの問い」の「教師」「学習者」が、ここではeスポーツの(多分「格ゲー」の)「自分」「敵」になっている。
以前もバイト先の居酒屋での客対応に活かしているのを語ってくれた院生がいたが、それよりもさらに趣味感が強い。
活かす先がそこでええんかいなというツッコミはあり得るかもしれないが、私はこれはとても面白いなあと思う。というのも、彼にとって、省察の深め方が血肉化されているからこそ、教育活動とは全然違うゲームの場面においてもこんなふうに、「あれっ、なんかこの振り返り方、浅いんじゃない?」と違和感を持てるのではと思われるからだ(実際には、「教える」も「戦う」も、人を相手とする働きかけという点では共通しているわけだが)。
最近、省察の仕方がパッケージ化されるというか、「こういう手順を踏めば/このワークシートの流れに従えば、きちんと振り返りができますよ」的な扱われ方をすることがままあるように思う。けれど、そういう形でだと、上で見たような血肉化ってあまり起こらないんじゃないかな。
もちろん、ツールはあってよいのだけれど、総合Pで「対話型模擬授業検討会」を軸にして行ってきたように、繰り返し繰り返し経験して「あ、『深める』ってこういうことか」と感覚をつかんでいくものとして省察の深め方や対話の仕方を捉えることが、きっと必要なのだろうと思う。
Kくんの振り返りがきっかけとなって、思考が刺激された。省察が省察を呼ぶ。Kくんに感謝!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?