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本のレビューやそこから考えたこと。好意的に取りあげたものも批判的に取りあげたものも。
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記事一覧

他人の目を気にしないで書くということ 〜澤田英輔『君の物語が君らしく』

澤田英輔『君の物語が君らしく 自分をつくるライティング入門』岩波書店、2024年 現在は軽井…

教師の働きぶりを「評価」できるのか 〜リンダ・ダーリング-ハモンド『教師に正しい…

リンダ・ダーリング-ハモンド著、無藤隆監訳『教師に正しい評価を』新曜社、2024年 ダーリン…

教師自身が心を動かし、頭を働かせること ~鈴木惠子、宇野弘恵『心を育てる』

鈴木惠子、宇野弘恵『心を育てる』東洋館出版社、2024年 学校現場を退職されて10年になる鈴木…

デザイナーとは何をする人なのか 〜ドン・ノーマン『より良い世界のためのデザイン』

認知科学者でもあり技術者・デザイナーでもあるドナルド・ノーマンの最新刊。 ドン・ノーマン…

ネット社会がもつ暴力性 ~宇多川はるか『中学校の授業でネット中傷を考えた』

宇多川はるか『中学校の授業でネット中傷を考えた』講談社、2023年 開成中で国語科の神田邦彦…

歯切れの悪さによってこそ語れるもの 〜大村龍太郎『クラウド環境の本質を活かす学級…

大学の同僚・大村龍太郎さんの初の単著が出た(ちなみに私とは同い年)。 大村龍太郎『クラウ…

「研究倫理」を形式的なものに終わらせないために ~田代志門『みんなの研究倫理入門』

以前学内で研究倫理委員会にいたことがあり、そのときに研究倫理関連の書籍をいくつか読んだが、勉強にはなったものの、「面白い!」「目からウロコ!」というものはなかった。むしろ、何かにつけて出てくる「ヘルシンキ宣言」とか、医療の話を教育研究にもそのまま適用されてもなあと、正直食傷気味だった。 が、今回初めて、抜群に面白いと思える研究倫理の書籍に出会った。 田代 志門『みんなの研究倫理入門 臨床研究になぜこんな面倒な手続きが必要なのか』医学書院、2020年 3人の登場人物による

「がまくんとかえるくん」は仲良し友情物語!? 〜木村・上田・明尾「アーノルド・ロ…

木村季美子・上田楓・明尾香澄(2023)「アーノルド・ローベル「おてがみ」の「名づけ得ない関…

ミシマ社とイリイチ 〜三島邦弘『ここだけのごあいさつ』

小規模ながら独特な存在感を放つ出版社、ミシマ社。「一冊入魂の本作り」を掲げ、「サポーター…

政治学を学ぶ 〜岡田憲治『教室を生きのびる政治学』

岡田憲治『教室を生きのびる政治学』晶文社、2023年 岡田憲治氏の本を手に取るのは、たしか『…

受け止めの幅広さを一望する ~『授業づくりネットワークNo.45 「個別最適な学びと協…

『授業づくりネットワーク No.45 「個別最適な学びと協働的な学び」を考える』2023年7月 令…

つながりによって増幅する学び ~脇坂圭悟『主権者を育てる社会科の授業』

脇坂圭悟・佐藤学『主権者を育てる社会科の授業』人言洞、2023年 茅ヶ崎市立浜之郷小学校の研…

学校に先生が揃っていることをなぜ私たちは当然視してこられたのだろう ~氏岡真弓『…

氏岡真弓『先生が足りない』岩波書店、2023年 朝日新聞編集委員で、2010年代から教員不足の問…

自らと切り離さずに綴る実践記録 〜星野「なぜ今、包括的性教育なのか」

EテレのハートネットTV「インクルーシブ教育(2)多様な子どもたちと共に学ぶ」に登場していた私立小学校教師の星野俊樹さんが、私が番組の感想を書いていたのを見て、テレビのなかでは語りきれなかった部分を綴ったものとして、こちらを送ってくださった。 野口晃菜・喜多一馬編『差別のない社会をつくるインクルーシブ教育』学事出版、2022年 星野さんは、「第3限」のなかの「なぜ今、包括的性教育なのか」を、勤務先での自身の実践をもとに執筆されている。 学校教育での「性」にかかわる事柄の扱