キュウリ栽培におけるケイ酸の影響

キュウリ栽培におけるケイ酸の影響についての情報収集

ケイ酸の吸収によってもたらされる果粉(ブルーム)発生が商品価値の低下となるため、ケイ酸吸収の少ないブルームレス台木が一般的となっている。
ケイ酸吸収の影響について、気になったので調べてみた。


「キュウリ生育に対するケイ酸の影響」より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dojo/53/1/53_KJ00001687348/_pdf

養液栽培でケイ酸の有/無の比較をした報告(岡山大学の先生)
・ケイ酸欠如区の新葉に縮葉症状(開花が始まるころ)
・ケイ酸添加区で花粉稔性率向上、収量増加
・ケイ酸添加区(養液中100ppm)でうどんこ病の減少


「キュウリの病害抵抗性におよぼすケイ酸の影響」より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dojo/53/2/53_KJ00001687373/_pdf

養液栽培でケイ酸の有/無の病害に関する比較(岡山大学の先生)
・うどんこ病とつる割れ病の抑制には、葉中に高濃度のケイ酸が必要(3.0%以上)


「土耕栽培のキュウリの生育に対するケイ酸の影響」より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dojo/53/1/53_KJ00001687349/_pdf

キュウリを3年連作した土壌におけるケイ酸の肥効(苦土石灰区との比較)(岡山大学の先生)
・ケイ酸添加区がつる割れ病の発生抑制効果がみられた
・苦土石灰区に比べて、ケイ酸添加1倍量区(200kg/10a区および225kg/10a)で収量増加したが、ケイ酸2倍量区(400kg/10a区および450kg/10a)では、苦土石灰区と同等程度であった
・ケイ酸2倍量区でpHの増加が悪影響した可能性がある


「ケイ酸含有資材がブルームレス台木きゅうりの病害に及ぼす影響」より
https://www.naro.affrc.go.jp/org/harc/seika/h19/307.html

ブルームレス台木において、ケイ酸含有資材の影響を確認(北海道)
・植物体のケイ酸含有率向上に寄与せず、うどんこ病、褐斑病、べと病に対する発病抑制効果もなかった。


「キュウリとカボチャにおけるケイ酸の吸収特性」

キュウリとカボチャにおいて品種間差を検証(高知大学の先生)
・ケイ酸吸収特性に関する品種間差は、キュウリは小さく、カボチャで大きかった(ブルームレス台木でも吸収がみられる品種もあった)
・同一品種でも高温、多湿な条件下で吸収を高めるという報告の記述
・ケイ酸不足は、マンガン過剰症を誘発し、ケイ酸の添加は光合成促進、生育促進効果、リン酸過剰吸収による亜鉛欠乏防止、耐塩性向上にも関与しているという報告の記述
・ブルーム果の商品価値が認められていない現状では、ケイ酸の施与利用は難しいが、低温期の栽培に対してや、養液栽培では養液中にケイ酸がほとんどないため、養液栽培に対して利活用の検討が必要と記述されている。


「ケイ酸施用による干ばつ条件下での子実・果実生産維持に関する研究」https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20580010/20580010seika.pdf

圃場試験、ポット試験において、干ばつ条件下でケイ酸500ppmを含む溶液の潅水し、効果を検証
・ケイ酸施肥により、雌花数や着花数の保持には、寄与しないが、着果した果実が収穫まで生存するのに寄与する。ただし、きわめて強い土壌乾燥ストレス条件下では効果なし。
・ケイ酸施肥により、土壌乾燥条件下での果実の生存率が高まり、収量が増加した。
(ブルームレス台木では、ケイ酸が蓄積していなかった)


「キュウリ苗へのケイ酸施用によるうどんこ病抑制効果」https://www.zennoh.or.jp/eigi/pdf_hiryo/gr442_22.pdf

土壌pHを上昇しにくいシリカゲルを育苗ポットに用いてうどんこの発生抑制効果を確認(全農)
・品種間差があるが、うどんこ発生抑制効果がみとめられた

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