居眠り運転

 居眠り運転ほど恐ろしい行為はありませんが、運転する方だってやりたくてやっているわけではありません。昨年末昭島市で救急車が横転してしまう事故が遭ったようですが、この救急車の運転手は約17時間にわたって休みなく活動し、内部調査で「眠気に襲われた」と説明しているのとことでした。

 この事故、当初知らなかったのですが、拝島町2丁目の国道とのことで、我らが国道16号線であることは間違いないでしょう。国道のような広くて余裕のある道路の方が、眠気に襲われやすくなるのでしょうね。搬送先の病院から消防署に戻る途中だったため、社内に患者がいなかったことが不幸中の幸いですが、救急隊員3人が軽傷で、別の救急車で運ばれたと言いますからシャレになりません。車内カメラには、運転手のほかに助手席に座る隊員が居眠りする様子も映っていたと言いますから、皆さんクタクタだったのでしょうね。

 コロナ禍で病床がひっ迫し、一般の救急患者についても受け入れ先の病院を探すための時間がかなりかかっているようで、そうした状況も激務に拍車をかけているようです。とは言え、救急車ですから、やたらな人に運転してもらう訳にもいかないでしょう。でも、こうした事態ではいろいろ融通を聴かせる方法を考えておかないといけないでしょうね。定年退職された救急隊の方を臨時でアルバイトとして使うなどして、特に運転だけでも交代できないものかと思います。でも、運転しない方でも応急処置等があるでしょうから、やっぱり眠い目をこすりながら対応されても困ります。

 東京消防庁は不要不急の119番通報を控えるよう呼び掛けているそうですが、そういえば以前「救急車はタクシーではありません」なんていうポスターを見たことがあります。信じられないことに「虫歯が痛い」「しゃっくりがとまらない」「蚊に刺された」で救急車を呼ぶなんて言う事例があったようです。こうした激務と対比すると益々許せない行為です。一方で、救急車のサイレンに対する苦情の電話が増加しているなんて言いますから、こんなに大変な仕事なのに、勘弁してやってくれと思います。
 
 おそらく運転手さんは患者を載せているときは気が張っていたのでしょう。無事搬送出来たところで、やっぱり気持ちに余裕ができて、それまでの疲れがどっと出たのでしょうね。事故はハンドルを持つものの責任ではありますが、この運転手さんには同情を禁じえません。

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