110年振り

 大相撲春場所、新入幕の尊富士が初日から11連勝で、新入幕力士の連勝記録で大鵬と並ぶ歴代一位となりました。11連勝ともなれば当然優勝の可能性も見えてきますが、尊富士は見事に優勝を果たし、これが110年振りの快挙だそうです。大鵬でさえも優勝はできなかったのですね。

110年前に優勝した力士は、元関脇の両国です。聞いたことのある四股名ですが、私がオンタイムで観たことのある両国は最高位が小結でした。当時は一場所が十日で九勝一休という成績だったそうです。ちょっとおかしな成績ですが、当時は対戦相手が休場になると、不戦勝ではなく自身も休場扱いになるというルールだったようです。

私が初めて見たのが10日目、本場所は相撲が始まったと気が付くのも遅くて10日目でようやく「おっ、相撲やってる」となり、その時たまたま見たのが尊富士でした。体格がゴツくて、カッコいいという印象で、まさかの10連勝、新入幕だということもそこで知ってさらに驚きました。対戦相手がまだ髪が伸びておらず髷を結えていない状態、尊富士自身も大銀杏にはできないくらいだったので、両者ともに出世のスピードが速いという印象でしたが、その対戦相手が今思えば敢闘賞、技能賞を受賞した大の里でした。滅茶苦茶注目の取り組みを何の予備知識もなく見てしまったのですから残念極まりないです。

尊富士の連勝が11で止まってしまったのは残念でしたが、翌日も勝って土曜日にも優勝が決まるかという所で、まさかの怪我です。救急車で運ばれたなんて聞きましたから、千秋楽に出場できるのか、優勝は絶望的ではないかと思ってしまいました。しかし、千秋楽見事に勝利で優勝を決めてくれました。

伊勢ケ浜親方からは選手楽の出場を止められ、本人も歩けない状態だったから断念しかけたそうですが、兄弟子の照ノ富士「お前ならやれる。記録はいいから、お前は記憶に残せ。勝ち負けじゃない。最後まで出ることが大事。負けてもいいから。しょうがない。でも、このチャンスは戻ってこない。オレもそういう経験があるから」と言われてから、「立て」と言われたらあるけるようになったとのこと。こちらも凄いエピソード、無理は良くないけど、気持ちで負けてもいけませんね。
 
110年前の両国はその後、優勝することはなかったようですが、尊富士にはますます頑張って頂きたいものです。

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