武士道

 新渡戸稲造著、矢内原忠雄訳「武士道」を読みました。著者は言わずと知れた先代五千円札の肖像になっている方です。本書と五千円札があまりにも有名ですが、国連事務次長、東京女子大の初代学長など要職を歴任されています。

 改定にあたりかかれた序文に「私は『孝』についての一生を加えることが出来なかったことを遺憾に思う。」とありました。「孝」は「忠」と並んで日本道徳の車の両輪をなすものだとありました。どうして書かなかったかと言えば、大きくまとめると著者自身が「孝」については不勉強だったからということです。別なところで補充したいともありましたので、是非「孝」についても解説して頂きたいと、孝博君は思うわけです。

 残念ながら「孝」は外れたわけですが、「義」、「勇」、「仁」、「礼」、「誠」、「名誉」、「忠義」、「克己」といった言葉の解説がありました。どれもこれも大切で、一つ一つどこかで掘り下げていきたいところですが、今回はサラッと行きたいと思います。「名誉」という所にちょっと違和感を覚えたのですが、それは私が「名誉」という言葉を勝手に悪印象で受け止めていたのでした。「善き名(中略)は、その潔白に対するいかなる侵害をも恥辱と感ずることを当然のこととした。廉恥心は少年の教育において要請せらるべき最初の得の一つであった。」とありました。これって「恥の文化」という解釈でよろしいかなと思います。続けて「『笑われるぞ』『体面を汚すぞ』『恥ずかしくないか』等は、非を犯せる少年に対して正しき行動を促すための最後の訴えであった。」とありました。「名誉」という言葉だったり、「体面を汚すぞ」という指導だったりというのは、ともすればそれを守るために取り繕うようなところが出て来てしまいますが、そうしたことこそ「恥ずかしくないか」と思わなければいけないのでしょう。

 166ページしかないのですが、内容が濃くて読むのにも時間がかかり、どうまとめてよいやらわかりません。時間を作って少しずつ噛み砕いたり、解説本を読んだりしたいと思います。

 ルーズベルト大統領が本書を読んで、友人にも配ったとありましたが、失礼ながら「ホントに読んだの?」と思ってしまいます。いや、読んで感銘を受けるのは誰でもできますが、それを行いにしなければいけませんね。「古の 道を聞きても 唱えても 我が行いに せずばかいなし」とはよく言ったものです。

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