「働き方」の教科書
出口治明著「『働き方』の教科書 『無敵の50代』になるための仕事と人生の基本」を読みました。著者は日本生命を58歳で退職し、現在のライフネット生命株式会社を創業された方です。著者のお名前は存じ上げておりましたが、ぼんやりとした印象しかありませんでした。既存の生命保険会社を親会社としないで設立された独立系保険会社は74年振りだそうで、今更ながらそんなことを知ったのはお恥ずかしい限りです。本書は2014年に発刊されたもので、Amazonの履歴を見るとその頃購入していたようです。10年間寝かせており、こちらもお恥ずかしいです。
そんな凄い方の仕事論ですが、なんとも飄々とした雰囲気でした。一年間は365日ですが、24時間をかけると8760時間ですが、日本人の労働時間は年間2000時間程度、割合にすれば23%程度で、家に仕事を持ち帰る人などを含めても30%に届くかどうかだそうです。そして、「三割という数字は、ようするにたいしたことではないということです。」と言っていました。うーん、これを聞いて楽になる方もいるのかもしれませんが、ちょっと共感できませんでした。著者はかなり優秀な方なのでしょうね。2000時間を8で割ると250日ですが、もう少し長い時間働いている人間の方が多数派だと思います。モノは言いようで、「一日8時間働くとして、起きている時間の半分は仕事」という考え方もあります。もちろん休日も考慮されるべきですが、しっかりと睡眠を取れている前提でも半分が仕事なのですから、考え方次第かなと思います。
そうかと思えば「人生は九十九パーセント失敗する」、「ビジネスは成果がすべて」、「根拠のない精神論を排除する」と厳しい言葉も並んでいます。導入が穏やかで、やさしい感じだっただけに、いきなりの厳しい言葉に面食らいもしますが、優しい言葉に相殺されて、受け入れやすくなったような気がしました。
著者はしっかりと自分の意見を言う方で、取引先と口論になったようなエピソードがいくつかありました。しかし、そのエピソードはすべて「そこから自分が学んだ」という内容で、結構な口論をしているのに、しっかりと相手の言葉を受け止めることができるのは素晴らしいなと思いました。
少し長くなりましたので、明日へ続きます。