公用車にセンチュリーは違法?

 2020年8月に山口県が公用車としてトヨタのセンチュリーを購入したことに対し、今年の2月、県の元職員が山口県を提訴、山口県知事に購入費の全額を請求するよう求めました。そして先日、山口地裁は公用車としてセンチュリーを購入したことを違法と判断し、山口県に、知事に対して購入金2090万円の支払いを求めるよう命じました。


 2020年8月ともなれば、コロナ禍に突入したばかり。いつ明けるともしれないような閉塞感の中で、不安に駆られる人が多くいらっしゃる中、首長が利己的なお金の使い方をしているように見えて、批判が出るのも無理はないでしょう。そのあたりの配慮に欠けていると言えば、その通りなのですが、役所の予算執行って、おそらくもっと前から策定されて、執行ともなればやっぱりその通りにやらなければいけない、なんとも融通の利かないものなのだと思います。「やっぱ、やめた」という訳にもいかないでしょう。


 知事が主導して「オレ、センチュリーに乗りたい!!」と役所職員をグイグイ動かして購入していたのかと言えば、そうでもなさそうで、もともと山口県ではセンチュリーを3台所有しており、そのうち2台を下取りに出してから、今回のセンチュリーを購入したとのことです。知事としてはそれほど気にしていた案件でもない可能性もあります。


 兵庫県でも公用車をセンチュリーに変更したことに対して役所に苦情が殺到したなんて言うことがあったそうでが、この時は、知事選も絡んでいたようで、公用車が争点になるなんて言うことになっていたらあまりにもくだらないと思ったのですが、さすがにそんなこともなく、前知事は引退、後任の知事がリースの見直しを実施したのだそうです。


 どの程度知事が力を入れて進めていたかを推し量る術はありませんが、そもそも3台あった車を買い替えたことが違法というのはどうなんでしょうね。県政で起きたことについてはすべて知事の責任であるとは思いますが、「公用車買った」、「高すぎる」、「知事が払え」なんて言うのは安直というか、子どもみたいというか、ちょっとまともな主張とは思えません。しかし、それが裁判で通ってしまうのですから、驚きました。程度の問題こそあれ、公用車はそれなりのものを使う必要があると思うので、違法と断罪して良いのかどうか、あまり良いとは思えません。


 是非とも控訴してほしいところですが、控訴してしまうと、センチュリーに未練がましくこだわっているように見えてさらに批判が増えてしまうなんて言うこともありそうです。それでもなんとかして乗り越えて控訴してほしいものです。

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