大衆酒場の作法

 玉袋筋太郎著「大衆酒場の作法」を読みました。著者の説明は不要でしょうね。「町中華で飲ろうぜ」も良く観ておりますが、愛すべき酔っ払いの1人です。本書を見つけて9月分の3冊の内の1冊として買ってしまいました。そんなことしてたらなし崩しになってしまうので、「次に本を買うのは9月1日。2冊だけ」は死守したいと思います。

 良い大衆酒場を見つけるには「嗅覚」が必要で、本書がその「嗅覚」を掴むきっかけになればいいなとありました。また、「人生という遠足のしおりとして」なんて言っていました。これもなかなかお洒落な言い回しと思いましたが、「おやつはいくらまでと尋ねられたら、(中略)おやつは君の財布の中身までだよ。」なんて言った辺りではもう酔っぱらっているのでしょう。ちょっと訳が分かりませんでした。この後もちょいちょい訳の分からない言い回しや例えがありましたが、それがまた好感を持てました。

 「ここで紹介している店は、(中略)俺の尺度で選んだ。俺が好きなにおいの店。だからほんとはここで紹介した店だけじゃなくて、自分だけの店を探してくれって思うし、自分の店を探すための指南本だと思ってほしい。」ともありました。でもやっぱり、本書で紹介されたお店に行きたくなってしまいますね。また、私は「町中華で飲ろうぜ」や「酒場放浪記」に登場したお店に行ってみることが多いのですが、それは著者からすればまだまだなのでしょう。しかしながら、本書で紹介されている吉祥寺の「いせや総本店」、田無の「一国」や荻窪の「カッパ」は、特に何も参考にせずにたどり着いたと記憶していますので、やっぱり呑兵衛の嗅覚というのは、似てくるのでしょう。私の行っていたお店と被っていて、何やら誇らしげな気持ちになりました。

 著者と西山茉希の対談がありました。西山茉希ってきれいなモデルさんというイメージしかありませんでしたが、中々の呑兵衛の様で、好感が持てました。「大衆酒場でお酒を飲みながら、いろんな人間を見て、いろんな気持ちを学んで、ここが一番、心を大きくする場所だと思うんですよ。」とありました。高田渡の「僕にとって旅とは、もしかしたら飲んでいる場所をただ変えるだけのことなのかもしれない。いつもとは違った場所で飲み、そこに集う人々を見る。実は自分のことを見つめている。おそらく、きっと、それが僕の旅なのだと思う。」という言葉に近い内容だったので、感心してしまいました。しかし、稲盛哲学を学ぶ以上は「一番心を大きくする場所」は酒場ではなく、職場でなければなりません。とはいえ、一番である必要はないので、職場でも、酒場でも心を大きくして良ければ良いなと思いました。

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