倉庫火災の損害賠償

 2017年に起きたアスクルの倉庫火災において、原因は回収業者のフォークリフト作業だったとして、アスクルが回収業者に約101億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が出ました。判決は業者の過失が原因と認め、約51億円の賠償とのことです。とある雑誌の表紙にに、この火災の写真と共に「物流が壊れる」なんていうタイトルがつけられていたのを見たときは、流石に煽りすぎだろうと思った記憶がありますが、あれからもう6年も経つのですね。


 「回収業者の従業員が、段ボールが1.5~3メートル積みあがった部屋で、作業スペースを作るためにフォークリフトの前進・後退をくり返していたところ、段ボールなどがフォークリフトのエンジン部分に入り、高温の排気管に触れて着火した」とありました。ちょっとこの辺り、よくわからないのですが、段ボールが積みあがって散乱しているところをフォークリフトで押し込んでスペースを作っていたということなのかなと思います。段ボールの上でタイヤが空回りし、摩擦で段ボールが燃えたなんて言う話をうわさで聞いていましたが、人つてに聴けばそんな感じに変化してしまうのでしょう。


 判決は「フォークリフトの説明書に『排気管付近に燃えやすいものがあれば火災の恐れがある』と書かれていたことなどから『従業員は着火の可能性を予見できた』と認定したそうです。うーん、情けない話ですが、私、フォークリフトの説明書を読んだことがありませんでした。もちろん、排気管が高温になることは存じ上げておりますが、私がフォークリフトに乗っていても、予見できたかといえば、正直、できなかったと思います。ただ、エンジンのフォークリフトが倉庫内で使われていた(記事では「部屋」という表現でした)というのはちょっとどうなのかなと思いました。大きな倉庫なので、フォークリフトの出入りも当然可能だと思うのですが、外で使用していたフォークリフトで倉庫内に入って作業をしていたというのであれば、そのあたりがポイントになってくるのかなと思います。


 フォークリフト作業については保険を掛けることが出来ます。大量の商品を扱うわけですが、パレットごとひっくり返すなんて言うこともあれば、結構な損害になりますし、フォークリフトで倉庫や車両などに接触させてしまう、また人に怪我を負わせてしまうなんて言うこともあるでしょうから、そうした場合に備えて保険に入ります。自動車保険の特約でついているケースもありますが、このような火災にまで発展した場合には、どうなることやら、想像もつきません。保険が効かないとなれば、回収業者が仲裁会社ならどうにもならないでしょうし、アスクルも回収できるのかと思いましたが、回収業者も大きな会社で、回収できないということはなさそうでした。しかしながら、アスクル自体でも火災保険には加入しているでしょうし、そのあたりがどうなのか、細かいところをご存じの方がいれば、教えて頂きたいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?