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「もふ」という猫の話②
「もふ」へ会いに行く道中の移動はそこまで楽しいものではなかった。
これからとてもかわいい猫に会えるというのに。
でもそれは、僕らには本当にもふを連れて行くような覚悟がなかったからかもしれない。
つい先日、電車で来た場所に今度は別の方法で来た。
あまり奥に進みすぎると、見知らぬ土地で困るかなと思い、多少道幅の広い場所にレンタカーを停めてもふと会った場所まで歩いていくことにした。
連れ帰る用のケージはなかったが、タオルを数枚と、猫のご飯を持ってきていた。
このまま、ただ会いに行っても、この間と同じようにかわいがって、じゃあさよなら、となってしまう。なにせ事情がわからないので勝手に連れていくわけにもいかない。
情報収集しなければいけない。そんなことを思って見渡すと、とても都合の良いことに民家の前にごろごろしていた猫たちに(もふではない)ごはんをあげているおっちゃんがいた。以後おっちゃんと呼ぶ。
たいして社交的な性格でもないのだが、なぜだかこういうときは大して考えもせずに話しかけられたりする。
おっちゃんに話しかける。ついでに猫たちとも戯れたかったが、彼らにその気はないらしい。あくまでおっちゃんとごはんとのカンケイのようだ。
まずおっちゃんに挨拶をし、このへんでいつもごはんをあげているのか、長毛種の猫がこの先にいることを知っているかたずねた。
「もふ」の特徴を言うと、ぴんときた、というような感じはあまりなく、でも、ああ、、あいつかなあ、くらいの感触。おっちゃんはちょっとのんびりしている。
ぼくらはおっちゃんしかすがるものがなかったからおっちゃんの話を熱心にきいたりしている。
するとこれから日課の散歩がてら、猫たちにごはんをあげにいくと言う。とても都合がいいので同行させてもらうことにした。
歩きながらおっちゃんが猫を呼んだりしている。
民家の庭先からだったり、おっちゃんの後ろからだったり、あちこちから猫は近づいてきた。おっちゃんはポケットから家で小さくきってきたらしいソーセージなんかを出して猫にあげている。
ある程度あげたらバイバイしてまた歩き出す。
このおっちゃんを引き当てることができて、本当にラッキーだった。
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