ペーパードライバー

今年の1月から僕は、車を運転している。それもほぼ毎日だ。車種は日産のキャラバン。21歳の学生時代に高校からの友達に誘われ、約三週間の合宿で手に入れたマニュアルの免許証は、約20年の歳月を経て単なる写真付き身分証明書になっていた。
同じ免許合宿に参加したその友達は、僕よりも免許取得に苦労し、途中でオートマチック限定に変更して取得したにも関わらず、先輩から車を安く売って貰い大学生の時間的余裕をフルに活かして、いつの間にか立派なドライバーになっていた。よく車を運転しながら僕に電話を掛けてきていた記憶があるのでよっぽど車の運転が好きだったのだろう。一方で僕は学生時代も卒業してからも車や車の運転に関しては無頓着で、東京という場所で生活していることもあり必要性をそこに感じることはなく時間だけがただ経過していった。途中、選挙応援の選挙カーを運転するという特殊な経験もしたが、期間限定だったので、すぐに運転など忘れてしまっていた。
話を戻すと、なぜ僕が現在車の運転をしているのか、それは福祉関係の仕事で利用者の送迎に携わっているからである。まあデイサービスと言えばご存じの方も多いのではないだろうか。この送迎車の運転がペーパードライバーの僕には慣れるまでが、本当に大変だったのだ。まず基本的な交通ルールから復習し、車の基本操作に慣れる。文字にすると簡単だが20年のブランクは、そう易々と僕に余裕など与えず、加えて品川区と港区という交通量も半端ない場所は、三車線の幹線道路ばかりなのである。そりゃ足も震えますよ！そして何よりも僕を憂鬱な気持ちにさせたのが、Uターンや縦列駐車などのバック運転である。これが本当に大変で、こんな場所行くの？という場所で、大きめのキャラバンをバックやUターンさせなければならいのである。また車のハンドルを焦って回すと、今、前輪がどのぐらい右や左に回っているのか、本当に分からなくなるし、何度間違えてワイパーを動かして、心拍数が上昇したことか。約３ヶ月を経て大きな事故をしていないのは奇跡ですね。うん。そんな毎日です。

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