インサイドジョブ

インサイド・ジョブを観て

アメリカのドキュメンタリー映画「インサイド・ジョブ」を観ました。これは、リーマンショックに端を発した世界的な経済危機の全容を、金融機関、当局、学者、メディアなどの関係者へのインタビューを通じて明らかにしようというものです。

私自身は、リーマンショックの当時、外資系金融機関の内部管理の部署で働いていたので、この映画で語られているようなことは、ある程度は分かっていたつもりですが、金融業界を離れた今、改めて見てみると、ウォール・ストリートの強欲さ、無責任さに驚きと憤りを感じます。

特に、リーマンショックの原因である、低所得者向けのサブプライムローンを証券化した金融商品を世界中にばらまき、自らはその商品が「クソ証券」であることを認識し、それが破綻すると利益を得ることができる取引を行っていたとして議会で吊るしあげられた米国の代表的な投資銀行、ゴールドマン・サックスは、誰が見ても許されないのではないでしょうか。

ところが、リーマンショックから10年以上経った今、ゴールドマン・サックスは、日本の生活者の資産形成のための投資信託に、その影響力を及ぼしているのです。

それが、下の「ゴールドマン・サックス社債」と呼ばれる投資信託で、1年半ほど前に運用を開始してから、毎月のように発行され、現時点の運用総額は3000億円を超えています。

この投資信託については、以前に解説の記事を書いたことがあるので、詳しくは下の記事をご覧ください。

そして、私が今一度強調したいことは、この投資信託を購入するということは、その投じたおカネがゴールドマン・サックスの事業資金として提供されるという事です。この投資信託を購入する前に、是非「インサイド・ジョブ」を見て下さい。

リーマンショック以降、その反省も踏まえて金融機関に対する規制も強化されてきています(だた、それも金融機関側のロビー活動によって骨抜きにされている部分もあります)が、ゴールドマン・サックスは、ちょっと前にもマレーシアの政府系ファンドとの取引で不正を働いたとして追及されていました。

それでも、自分の資産を安定的に運用したいというならば、それでもいいでしょう。まあ、この投資信託は、サブプライムローンの証券化商品と異なり、将来紙くず同然となるような「クソ証券」ではありません。ただ、繰り返しですが、皆さんのおカネを投じるに値するものかどうか、よく考えて欲しいのです。

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