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奨学金の貸与利率の最新動向(2020年3月)

新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、新たな門出を祝う卒業式も簡素に実施する学校が多いようです。本来は人生の想い出の1ページになるはずの日であったのに、気の毒なことですが、これに負けずに次のステップへと踏み出して欲しいと思います。

さて、大学を卒業して社会人となる皆さんの中には、学生支援機構の奨学金を利用していた人も多いと思います。卒業すると、10月に返還が始まりますが、第2種の奨学金については、利息をつけて返還することになります。

利息の額を決める方式は、「利率固定方式」と「利率見直し方式」があり、いずれかを選択することになりますが、それによって、奨学金の総返還額が変わってくることになります。

詳しくは、以前に投稿した下のnoteを参照して下さい。

今回は、第2種奨学金の貸与利率の最新動向と、利率算定方式による総返還額の違いについて確認したいと思います。

まずは、貸与利率の動向です。

奨学金利率_202003

利率固定方式、利率見直し方式ともに、市場金利の低下に伴い、昨年の3月と比較すると低下しています。

利率固定方式:0.14%(2019年3月)→ 0.07%(2020年3月)
利率見直し方式:0.01%(2019年3月)→ 0.002%(2020年3月) 

学生の皆さんにとって、ローンの利率というのは馴染みがあまりないかもしれませんが、例えば、住宅ローンだと0.5%、大手銀行のカードローンだと1.8%というのが最低ラインなんです。

奨学金の利率がいかに低いか、分かって頂けるでしょうか。

それでは、実際の返還額はどの位になるか、見てみましょう(貸与月額8万円、貸与期間4年、貸与総額384万円のケース)。

まず、利率固定方式の場合ですが、今の利率(Ⓐ)と1年前の利率(Ⓑ)を比較しました。去年と比べて利率が低下した分、総返還額も3万円少なくなり、387万円となります。貸与総額が384万円ですから、利息の総額が3万円という事になります。これは、ほとんどタダも同然ですね

利率見直し方式の方はどうでしょう。今の利率は0.002%と非常に低く、利率固定方式よりも低いのですが、こちらは5年毎に市場金利に合わせて更新されるものです。仮に、今の利率が今後20年間継続すれば、利息の総額は千円にも満たないものになりますが、それはさすがに可能性は低いのではないかと思います。したがって、ある程度の金利上昇を見込んだシナリオⒸ~Ⓔで返還額を計算すると、いずれも利率固定方式による返還額を上回る結果となってしまいます。
【シナリオⒸ~Ⓓの内容】
シナリオⒸ:現在の市場金利から想定される将来の利率
シナリオⒹ:将来の金利上昇が緩やかなケース
シナリオⒺ:将来の金利上昇がⒹと比べて急なケース

奨学金返還シミュレーション_202003

ということで、私であれば、利率固定方式を選びますね。もし、今後も5年、10年とマイナス金利が続くと予想される方は、利率見直し方式でも良いかもしれません。

利率算定方式は、奨学金の申し込み時にいずれかを選択しているはずですが、貸与期間が終了する前であれば、まだ変更が可能かもしれません。自分がどちらを選んだか確認しておいた方が良いでしょう。

(2021年3月18日追記)

奨学金の貸与利率の最新動向です。こちらもご参考にしてください。


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